“圧倒的なデータと分析力で、「How much」の全てに応える”

株式会社オークファン
代表取締役
武永修一

インタビュー: 2014/10/03

京都大学法学部在学中に、ロースクールへの進学資金を得るため個人事業としてオークション事業を開始。順調に規模を拡大し、2004年に株式会社デファクトスタンダードを設立、代表取締役に就任。その後、ネットオークションの価格比較サイト「オークション統計ページ(仮)」の運営を開発者より譲り受け、2007年新設分割により株式会社オークファンを設立。2013年に東証マザーズ上場を果たす。

生年月日:
1978年
出身:
山口県
出身校:
京都大学

- ビックリマンシールがビジネスのルーツだとか?

小学生の時ビックリマンシールが大流行し、周りの友達も皆夢中になって集めていました。そんな中、私は友人達に持っているシールの種類を聞いて回ってノートに記録していったんです。すると、「A君が欲しがっているシールをB君は3枚も持っている」というようなことが分かりました。そこで、友人たちそれぞれに「ダブっているシールを全部くれたら、君の欲しいシールをあげるよ」とトレードを持ちかけたんです。それを繰り返すと手元には元本が残り、シールがどんどん貯まっていく。気づけば半年ほどで、本体のお菓子を一度も買わずに全種類のシールが揃っていました。子どもの頃の小さな成功体験です。

- その体験をビジネスに生かそうという思いは当時からあったのですか?

当時は全然考えていませんでした。シールを集める面白さと知恵を使って勝つことの達成感、それだけだったと思います。でもその後中学生になり、そのノウハウが実際に利益を生むようになりました。シールをゲームソフトに、A君B君という友人をA店B店というゲームショップに置き換え、同じことをやっていったのです。中古ソフトを扱うゲームショップに「売りたいソフトがたくさんあるので買取価格を教えてほしい」と問い合わせて、FAXで一覧表を送ってもらいました。それらを比べてみると、シールの時と同様に「A店の売値はB店の買取価格より安い」ということがわかるんです。中古ソフトを安く買っては高く買取してくれる店で売り、中学生ながらに月に2~3万円ほどを稼いでいました。

- その後学生時代に、個人事業主として事業をスタートされたのですね

学生時代は弁護士を目指し、ロースクール(法科大学院)へ進学したいと考えていました。そのための学費として600万~700万円が必要だったため、1日3つのアルバイトを掛け持ちし、寝る間も惜しんでフラフラになりながら働きました。でも、学生のアルバイトで得られる報酬はたかが知れたもの。このままでは学費を捻出することができない、どうしよう…と悩んでいた頃、テレビでネットオークションのことを知りました。そして、まずは不用品を売り、徐々にブランド品の売買などを手掛けていくようになったのです。商品の見極めや画像の見せ方など様々な工夫を重ね、その結果はすぐに大きな売上となってあらわれました。2年後には目標金額を達成したものの、その頃には事業規模もかなり拡大しており、ビジネスの面白さを感じるようになりました。そこでロースクールへの進学を延期し、ビジネスの道へ進むことにしたんです。結局その後事業を法人化し、法律家から完全に方向転換したわけですが、当時はあくまでも学費のためという思いが強かったですね。

- オークファン設立の経緯をお聞かせください

オークション事業を手掛ける中で、私が一ユーザーとして注目していたサイトがありました。それが「オークション統計ページ(仮)」という、現在のサービスの前身となるものです。そこには、さまざまなオークションサイトでの商品の落札価格の履歴がデータベース化されており、売り手として非常に便利であったと同時に、取引情報の蓄積をデータとして提供するビジネスモデルに大きな可能性を感じました。知人を通じてそのサイトの開発者に会い、当初は彼と一緒に事業を立ち上げようと考えていたのですがそれは叶わず、しかし幸いなことにサイトの運営を譲り受けることになりました。それがきっかけで自己売買から情報提供サービスへの移行を決意し、2007年に株式会社オークファンを設立したというわけです。

- サービスの特徴についてお聞かせください

当社が運営する「aucfan.com(オークファンドットコム)」は、インターネット上で取引されるさまざまな商品の価格比較や分析等を行う、国内最大級のネットオークション価格比較・相場検索サイトです。商品や価格を比較できるサイトは数多く存在しますが、それらは全て買い手のための情報です。対して「aucfan.com」は、買い手だけでなく商品を売りたい人が集まる唯一のサイト。今後は海外サイトの情報なども充実させ、売り手にとってより有益なコンテンツを増やしていきたいですね。

- 今後の事業展開についてはどのようにお考えですか?

私たちがこれまでに蓄積したオークションおよびショッピングサイトにおける商品のデータは200億件以上にのぼります。しかしそれだけでは、普段ネット上でモノを売買する習慣のない人にとっては全く無価値なものでしかありません。今後はインターネットにとどまらずリアル店舗でのデータも提供したいと考え、準備を進めているところです。目指すのは、商品に対する全ての「How much」に応えること。買う時も売る時も、ネットと実店舗を比較して有利な方を選択できるようになれば、より多くの人に価値あるサービスになるはずです。また現在、これらのデータに対する大手企業からのニーズも非常に高まっています。量販店などにとって、今やECサイトのデータは必要不可欠なものです。当社はデータだけでなく分析のための業務ツールの提供まで行っており、売上アップやコスト削減にダイレクトに貢献することができます。このようなデータやノウハウを活かした事業展開にも力を入れていく予定です。

- 社内の文化について教えてください

当社の強みは、他にはない独自のサービスを展開していること。いわば競合相手のいない領域に踏み込むわけですから、何よりもスピード感を重視しています。また、独創性へのこだわりは非常に強く、社内にも個性的な人が多いですね。一般的に「少し変わっている」と思われるような人の方が、ユニークなアイディアを生み出すものなので。

- 起業に必要なものとは何だと思われますか?

起業を志すのであればベンチャー企業での経験を積むべきでしょう。大手企業からいきなり起業を目指す人も多いですが、大規模な組織で必要なスキルと会社を興すのに必要なスキルは全く別のものです。「学ぶ」という言葉の語源は「真似ぶ」だといわれています。ベンチャー企業の社長というのは、いわば起業の先輩。その身近でスキルを積み、肌で感じたことは疑似体験となり、実際に起業する時に大きく役に立つはずです。

- 日頃大切にしている考え方を教えてください

高いビジョンを持ち、コツコツと着実に進むこと。これは山登りと同じで、足元ばかりを見ていると進むべき道が見えなくなります。でもヘリコプターで一足飛びに頂上に立っても、それは登頂とはいえません。大切なのはしっかりと頂上を見据えて、靴ひもを締め、時にぬかるみを避け、仲間を気遣いながら、一歩一歩自分の足で歩みを進めることだと思います。また同時に意識しているのが“複利”の力。複利というのは、利息が利息を生む乗数計算です。たとえば1日の努力を100%として、そこに1%だけ他の人よりも努力したとしたら、1年後には、1.01の365乗で約38倍の差がつくことになります。逆に1日1%手を抜いたとしたら、0.99の365乗で、1年後には100%がたった3%程度になってしまうのです。1日1%を時間に置き換えれば約15分です。このわずかな努力を続けるかどうかが、将来の成功を大きく左右すると思います。

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