“「ネット」×「リアルビジネス」でイノベーションを目指す”

株式会社ホワイトプラス
代表取締役兼CEO
井下孝之

インタビュー: 2013/12/13

1982年、大阪府生まれ。2005年、神戸大学工学部を卒業、同大学院自然科学研究科に進学。在学中2006年7月、ベンチャー企業に採用が決まると、卒業を待たずに大学院は中退。「3年で起業」の思いを抱いて社会人生活をスタートし、勉強会で知り合った2人と、2009年7月に株式会社ホワイトプラスを設立。代表取締役CEOとして現在に至る。

生年月日:
1982年
出身:
大阪府
出身校:
神戸大学

- 会社設立の経緯を教えてください。

本気で起業を考えるようになったのは、大学在学中だったと思います。
ただ、子どもの頃から、意識の中のどこかに死への恐怖がありまして、でもそれは避けようがなくて、じゃあどうすればせめて満足して死ねるのか考えていく中で、死ぬ時に後悔がない人生がいいのではないか、後悔しない人生ってなんだろうと考えるようになって、後悔しないためにどうしたらいいのかという漠然とした思いがありました。そして漠然と「何かを成す」人間になれれば、後悔しない人生になるんじゃないかと思っていました。何かを成すという思いに至ったのは、小さな子供の頃に読んだ福沢諭吉、ベートーベン、野口英世などの偉人漫画の影響かもしれません(笑)。

漠然と思いながら悩んでいた大学4年在学中の2005年は、ライブドアやサイバーエージェントといったITベンチャー企業が華々しく話題になっていました。ちょうどその時就職活動を始めたところだったので、「事業家として何かを成す人間という道があるのでは」と思うようになり、そのためには事業家のすぐ近くで仕事ができるベンチャー企業へ行こうと、就職活動を続けていました。幸い2006年5月に、医療・介護・シニア領域の情報インフラを目指す急成長中ベンチャーの株式会社エス・エム・エスに内定を頂き、2007年の卒業を待たず、「すぐ働かせてほしい」とムリを聞いて頂き、入社させていただきました。そして、入社当初に自分へ決めた「3年で起業して次のステージへ進む」という目標を果たすため、2009年にお世話になった会社を退職させていただき、以前から一緒に起業したいと思っていた、優秀な2人の仲間と起業することができました。ここまでが会社設立の経緯です。

- ビジネスモデルは、「クリーニング×IT」と決めていたのですか?

いえ、「今はまだないサービスを提供しよう」と考えていただけです。3人で、ビジネスモデル100件以上考え出し、その中から選んだのがITでクリーニングサービスを提供するモデルでした。クリーニングに決めたのは、3つの事業条件を満たしていたからです。1つ目が、ストックモデルであることです。一度サービスを利用したお客様に、繰り返し利用していただければ、いつか必ず黒字になると思いました。2つ目が、市場規模が大きいことです。クリーニング市場は4,000億円ありました。挑戦する価値のある大きさです。3つ目は、タイミングです。2000年代後半からネットが一家に一台から1人一台になっていく中で、2008年にはiPhoneが登場し、常にネットに繋がる世界がやってくることで新しい市場が生まれると思いました。そして、3つの条件が満たされているだけではなく、私自身もクリーニングに対して、いちユーザーとして既存サービスには不便を感じていたため、これは「やれば世の中が良くなる、やる価値がある」と思ったのが、決め手になったと思います。

- サービスの具体的な内容を教えてください。

ネットで予約すると、最短2時間で宅配会社様が衣類等を引き取り、提携する特定工場でクリーニングして、最短2日後にはお届けするサービスです。実はこれを実現するのに3年かかりました。まず提携工場を探すところからスタートしたのですが、数えきれないクリーニング工場へ足を運んで、行く先々で「ネットで売れる訳がない」と言われてしまいました。クリーニング店舗の役割は、受付と検品です。対面で受付けて、検品するからこそ成立つと言われ、接客する方次第で、クレームにも繁盛店にもなるという話でした。だから「対面で接客ができないネットではムリだ。」と言われてしまいました。

でも、時代の流れから、間違いなく誰かがいつか実現させると思っていたので、そこであきらめず、ネット企業なのに自前の店舗をもってやることにしました。そこでは受付・検品・発送とカスタマーサポートを行い、1つ1つ課題を見つけては潰して、ネットで成り立つにはどうしたらいいか、システムを自社で構築し、同時に「どう梱包すればシワが一番少ないか」といったリアルな部分を1つ1つ改善して、そういうのを3年かけて形にしていきました。現在、リネットクリーニングの登録会員数は3万5,000人を越えて、順調に伸びています。

- 次に「トランクルーム×IT」をスタートされていますが…?

個々の商品に紐付けをして管理するシステムは、クリーニングと同じです。「クリーニング×IT」と同様に、流通は宅配会社様を利用して、預けた荷物を使いたい時には、ITで指定すれば翌日には届くというサービスを提供しています。保管場所は提携先の東証一部上場企業の建物内です。地代の安い地方にすることで、都心部にあるトランクルームの半額以下になります。昨年(2012年)10月頃からベータ版をリリースし、今月(2013年10月)に正式オープンしました。ふだん不要な荷物は預けて、家を広く使えるので家が広くなる、日本中の家を広くしたいという思いを込めて、広い家=『HIROIE』を立ち上げました。

- 社員に求めることは?

ともに切磋琢磨し、一緒に成長できる仲間であることです。
当社ではそのために5つの人材理念を掲げています。

1.主体的    …自分がホワイトプラスを創る主役。
2.スピード   …5分で決断、即実行。とにかく数。
3.成長意欲と自己否定 …今を疑い、変化を楽しむ。
4.執念     …徹底して考え、徹底してやりぬく。
5.誠実     …チームにも仕事にも誠実に向き合う。

例えば、「執念」というのは、言葉だけだとちょっとキツイ言葉ですが、意味は「成功する方法を見つけるまであきらめない」「徹底する」ということであり、徹底した努力と実行の結果があって初めて大きな成果を生み始めるという考えです。

- 今後の展開は?

今、急成長している「ネット×●●」の第1弾「ネット×クリーニング」『Lenet』は、会員数100万人を目指し、そして第2弾「ネット×トランクルーム」『HIROIE』ユーザーも会員数100万人にすることです。そしていずれ第3、第4と、生活をより良く変えていけるようなサービスを生み出して行きたいです。目指しているのは、生活のイノベーション。それが存在する前には誰も気が付かなかったことが、それが存在する後にはあたり前になっているようなサービス。そんなサービスを私たちは作っていきます。

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