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株式会社Kaien 鈴木慶太 「生きづらさ」をサポートする就職&教育支援プログラム

JOBSHIL編集部
株式会社Kaienの代表と企業ロゴ
株式会社Kaienの代表のプロフィール写真

株式会社Kaien
代表取締役
鈴木慶太

1977年静岡県生まれ、埼玉県育ち。東京大学経済学部卒業後、NHKのアナウンサーとして報道、制作を担当する。2007年よりKellogg (ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院)に留学。渡米中に、長男の診断をきっかけとして発達障害の能力を活かしたビジネスモデルを研究。帰国後の2009年9月、株式会社Kaienを設立。MBA(経営学修士)
生年月日: 1977年 出身: 埼玉県 出身校: 東京大学

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※この記事は「2014/04/25」に「ビジョナリー」に掲載されたものを、JOBSHILに転載しております。

幼少時はどんなお子さんでしたか?

勉強もスポーツも比較的よくできました。野球が好きで、小学2年生の時からルールブックを読んで独学でスコアブックをつけていました。

小学3年生になると、譜面を見ながらクラシックを聴いていました。当時、楽器は何もやっていなかったのですが親が音大出身なので家にスコアがあったんです。

譜面を見ながら聴いていると、パッと聴いただけでは分からないような音が鳴っていて面白かったですね。比較的物静かで、でもいろいろなことに器用な子どもだったと思います。

現在の仕事に就くまでの道のりを聞かせてください

実は私、就職活動を2回しているんです。大学卒業を控えて何となく就職活動をして、何社か内定をいただいたものの、どこもピンと来なくて結局辞退させていただきました。それで1年留年して、再度就職活動をすることに。

小さい頃からテレビが好きだったこともあり、NHKに入社することに決めました。同時に、MBA取得への興味もありました。大学は経済学部だったのですが、マーケティングの授業が本当に面白かったんです。

NHKのアナウンサーとして6年間働いたのですが、「自分にはもっと何かできることがあるのでは」という思いが湧き、退職してMBA取得のために留学することにしました。

起業に至るまでの経緯を教えてください

きっかけは3つあります。まず1つ目は、息子が発達障害だと診断されたこと。私が留学のために渡米する直前のことでした。でもその時は起業を全く意識しておらず、仕事とは別に息子のサポートが自分のライフワークになるだろうと考えるくらいでした。

2つ目は、留学中にデンマークのスペシャリスタナというIT企業を知ったことです。従業員の75%が発達障害者、しかも創業1年目から黒字経営という起業でした。 一般的にマイナスとされている発達障害者の特徴、たとえば細部へのこだわりや、ルールが明確でないと動きづらいといった面が逆にプラスとして活かせる環境づくりがなされている。さらに、営利企業として利益を上げていることに私は大きな感動を覚えました。

そして発達障害者の強みを活かしたビジネスプランを作成し、コンペティションで高評価をいただいていたんです。でも、その時も起業しようとは全く考えていませんでした。

決定打になった3つ目は、アメリカという国が新しいことへのチャレンジに対して非常に大きな敬意を払う文化があったということ。周りに後押しされ、帰国後の2009年に株式会社Kaienを立ち上げました。

事業内容について教えてください

当社は、発達障害の方がその特性や強みを活かした仕事に就き、活躍することを応援するプロフェッショナルファームです。

大人の発達障害の方には、職業訓練と人材紹介の2つを柱として事業を展開しています。また、そのような方々と接する中で、「子ども時代にこんな教育を受けていたらよかったのでは」と感じることが多くありました。

発達障害の方は、小さな頃から他人との認識のずれや見方の違いなど、いわば異邦人感覚を味わい続けています。そうやって大人になってしまうと、自尊心が低くなってしまったり、就労意欲を失ってしまったりすることに繋がりかねません。

子どもの頃から適切なサポートをすることで、自信を高め、苦手なことをありのまま受け入れられるようになってほしい。そんな思いから、発達に凹凸のある未就学児から大学生までを対象とした基礎学力支援とキャリア教育をスタートさせました。

会社の中で大切にしている文化はありますか?

福祉の世界では、傾聴と共感が非常に重要視されます。もちろん根本的には必要なことだと思いますが、発達障害の方に対しては当てはまらない部分もあると考えています。

発達障害者というのは、物事の優先順位が分からない、相手が何を言おうとしているのかが掴みにくいなど、いわば情報が混乱した人たちです。そういう人たちに必要なのは気持ちの整理よりも情報の整理、たとえるならカーナビを作ることです。それはスタッフにも浸透している考え方ですね。

また、つらい気持ちに共感するだけでは相手を助けることはできません。溺れている人を助けるためには、自分とその人の分と2人分泳がなければいけないんです。そのためにも、肉体的、精神的に健康でいられる仕事環境を作ろうと意識しています。

失敗談はありますか?

設立当初は人事面での失敗が多かったですね。誰にどこまで任せるか、自分がどこまで介入するのか。

組織を経営する以上、人との繋がりだけではなく、ときには冷たいことも言わなければならないし。そういうことにナイーブになっていた時期もありました。

今後の展望についてお聞かせください

私たちの願いは、働きたいと願う人がきちんと会社組織の中で認められて、資本主義社会の戦力になること。歯車と表現すると悪い意味にとらえられがちですが、社会に必要な歯車として存在することに喜びを感じる人たちもいるんです。

それをもっと説得力を持って発信していきたいですね。事業所の数も徐々に増えていますが、今漠然と考えているのは売上が10億円くらいになればもっと影響力を発揮できるのではないかということ。それによって福祉・医療業界が刺激を受けて、当社の真似をしてほしいと思っています。

あんな職業訓練をやりたい、発達障害者雇用の仕組みを作っていきたい、とビジネスとして考える企業が増えてくれればいいなと。私たち1社だけでできることは限られています。Kaienは触媒になりたいんですよ。それ自体は小さくても全体に影響を及ぼす触媒に。

起業を志す人へのメッセージをお願いします

自分が本当に好きなこと、四六時中考えていても疲れないことを見つけてください。本当に好きなことなら、四六時中動いていても疲れは感じないはずです。もちろん肉体的な疲れは別としてですが。

あと、忘れないでほしいのが「顧客はドリルが欲しいのではない、穴が欲しいのだ」ということです。多くの人は、自分が持っているものややりたいことがあって起業を考えると思いますが、実際にそのやりたいこと=ドリルが市場のニーズにピッタリ当てはまる可能性は少ないんです。

私の場合も、当初考えていたビジネスプランは現在とは異なるものでした。それを「自分はこういう穴を開けたいんだ」と発想を転換したわけです。発達障害の領域で仕事に関わること。発達障害者の強みを活かすこと。この2つの軸だけはブレずにプランを変化させていった。

ぜい肉をそぎ落とすというか、上手に発想を転換させることが必要だと思いますね。

座右の銘を教えてください

「今日を人生最後の日と思え」スティーブ・ジョブズ氏のこの言葉を毎日意識して行動しています。

また、留学時代の先輩に言われた「自分がいなくてもいい存在になれ」という言葉が印象に残っています。自分がいて初めて成立する組織ではダメなんだと。そういう組織を目指していきたいです。

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