JOBSHIL [ジョブシル] 転職に役立つノウハウメディア

JOBSHIL [ジョブシル] 転職に役立つノウハウメディア

Powered by

  1. VISIONARY
  2. 株式会社船橋屋 渡辺雅司 伝統を守る船橋屋が挑んだ、大改革と幸せな経営

株式会社船橋屋 渡辺雅司 伝統を守る船橋屋が挑んだ、大改革と幸せな経営

JOBSHIL編集部
株式会社船橋屋の代表と企業ロゴ
株式会社船橋屋の代表のプロフィール写真

株式会社船橋屋
代表取締役社長
渡辺雅司

大学卒業後、1986年に大手都市銀行に入行。融資業務やディーリング業務などに携わった後、ものづくりへの想いから、1993年に家業「元祖くず餅 船橋屋」に入社。2008年8月に八代目当主として、代表取締役社長に就任する。200年を超える老舗の改革を次々と行い、新卒採用で16,000人を超えるエントリーを得るほど若い世代も注目する企業へ。法人化以降、一期の赤字も出さずに成長し続け、2013年度3月決算の売上高は16億円にのぼる。
生年月日: 1964年 出身: 東京都 出身校: 立教大学

もっと読む

※この記事は「2014/05/30」に「ビジョナリー」に掲載されたものを、JOBSHILに転載しております。

もともと家業を継ごうと考えていらっしゃったのですか?

いいえ。“のれんは血より重い”という考えの元、船橋屋には当主としてそぐわない人材はたとえ自分の子どもでものれんを継ぐことはできないという考え方があります。

実際、祖父には長男がいたのですが、外に出して父を養子に迎えるということをしています。その祖父が亡くなる前、うわごとのようにその長男(すでに他界)への辛い想いを口にしていました。

のれんを守るという十字架を背負ったゆえに、縁を切らなくてはならなかった祖父の苦悩にふれたことが家業を継ごうと決意した大きなきっかけでした。

入社後、どんな取り組みをなさいましたか?

まず、入社して驚いたのは職人ありきのたて型組織だったことです。

もちろん、職人さんたちが昔ながらの製法を守ってきてくれたからこそ、船橋屋があったわけです。

船橋屋の看板商品であるくず餅は、450日かけて発酵させ、消費期限はわずか2日間。それは安全で美味しいものをお届けしたいという作り手の想いが込められています。

ただ一方で、私が入社した当時は「今日の仕事はもう終わったから」と、夕方から酒を飲み始めたり、日曜日は競馬に行ってしまったり…非常識なことが沢山ありました。

また、50~60年付き合っている業者もなあなあで、小豆、砂糖や寒天などの卸値もバブル期のまま高止まりしていて、適正価格とはいえない状況。それらの問題をひとつひとつ詰めながら改革していきました。

それは、濁った水をきれいで澄んだ状態へと浄化させていくようなもの。既得権を持つ人間があぶり出された一方、俗人的な仕事内容を見える化していきました。

その過程の中で、さまざまな反発や自らの葛藤もありましたが、澄んだ水に戻すことで新たな人材やお取引様とも出会うことができ、本格的な意識改革、構造改革をスタートさせることができました。

澄んだ水を取り戻した後、組織改革は順調に進みましたか?

なかなか簡単にはいきませんでした。悪い慣習を改善することで、少しずつ水はきれいになりましたがどうも社員に元気がみられない。活気を感じられず、離職者が増えていく事態に陥りました。

どうしてそうなるのか必死に考えてみると、昔の慣習を改革しようとするあまりルールや規則で社員をがんじがらめにしていたことに気づきました。これではやる気がみられなくなるのは当然ですね。

そこで、仕組みでしばりつけるのではなく、幸せな経営について考えはじめました。船橋屋が存在することで、まずは自分達が幸せになり、お客様も幸せになり、それに関わるすべての人が幸せになること。それが、幸せな経営=会社だと考えます。経営の軸が定まったことで大きな変化が生まれ、7年前からは新卒採用もはじめました。

会社説明会がとてもユニークだとお聞きしましたが

会社説明会は、社員がすべて企画しています。

社に管理されるのではなく、自らの意思や創意工夫によって仕事に取組み、自分の能力をぐんぐん高めていくことができる。

そんな会社であることを社員自らが、学生の方々にアピールしています。

そのため、2015年度新卒採用には16,000人を超えるエントリーをいただきました。

Facebookでもさまざまな取り組みについて発信することで、学生の方々の間で船橋屋への信頼や注目度が上がっていったのだと思います。

入社後は、個人の能力を引きだす取り組みや研修などが受けられるので、思いがけないスピードで成長する人材が数多くいます。まるで熱いフライパンの上に置かれたポップコーンのように、ポン!とはじける瞬間があるんです。

そのためには、フライパン(会社)の熱をどこまでも保っていないといけません。私はそれを「ポン、ポン、ポポン作戦」と名付けています(笑)経営者の中には、給与を払ってどうして社員の教育までしなくてはいけないのだという方もいますが、会社は人を育てる場でもあります。

私は「ポン、ポン、ポポン作戦」で、これまで多くの社員の目覚ましい成長をみることができました。これは経営者として非常にうれしいことだと思っています。

その他、社員の自己成長を促すために取り組んでいることはありますか?

社員の自主性を促し、志を共にできるよう、社員主体のさまざまなプロジェクトを立ち上げています。

高度なレベルでの品質管理から働きやすい環境づくりを行うための【品質管理プロジェクト】、社員がのびのびと仕事に取組み、自らが成長できるようにするための【組織活性化プロジェクト】など、いくつかのプロジェクトを進めています。

プロジェクト名も社員から募り、主体性のベースを作っています。またボトムアップのひとつとして年2回、社内アンケートを行って改善すべき点を浮き彫りにし、より働きやすく質の高い組織づくりに注力しています。

社員の本音が一斉に集まるので、経営陣としてはいつもドキドキしながら目を通し、改善に努めています。

売上げ目標や事業計画についてお聞かせください

企業に急激な成長は必要ないと考えています。急激な成長を遂げる企業があっという間に失速するのを何度もみてきましたが、それはなぜだと思いますか?

それは、急速な成長によって仕事やサービスの質が追いつかず、結果的にお客様を裏切ってしまうことになるためだと思います。これでは幸せな経営はできません。

ですから、船橋屋は前年比より+5~10%の成長を毎年積み上げていく道を選んでいます。どんどん店舗を出せばすぐに売上げは伸ばすことはできるでしょうが、それはしません。

昨年も売上げ効率が悪い店舗を数店閉店させ、一方で注目のエリアに進出しました。そういったスクラップアンドビルドを行うことで、利益率を上げながら売上げを伸ばしていくようにしています。

また、事業計画については正式な中期経営計画はありますが、それをもっと分かり易く、社員全員で共有できる冊子があります。そこには「東京くず餅宣言」と銘打ち、数年後には東京を代表するお菓子になっていること、日本中にくず餅を広めることなどが楽しいイラスト付きで紹介されています。

もちろんこれも社員がアイデアを出してつくったもので、みんなでワイワイ盛り上がりながら見てほしいので、「一人見厳禁」なんて文字も踊っています。

この冊子を通して、志を共にして同じ方向を目指すことにつなげたいと思っています。とにかく仕事は面白くなくてはいけないのです。

座右の銘を教えてください

座右の銘は「我以外皆我師」です。これは船橋屋の大看板の文字を書いてくださった吉川英治先生の残した言葉で、常に心の中にある言葉です。

「宮本武蔵」や「新平家物語」の著者で有名な吉川先生は、船橋屋の黒蜜をたいへん気に入ってくださっていて、そのご縁で看板の書を残してくださいました。

その大看板は、今も本店の喫茶ルームに大切に飾っています。私自身もこの看板をみるたび、先生の言葉を改めて想い返しながら日々に活かしていきたいと考えています。

無料業界最大級・祝い金つきの転職求人サイト
掲載企業のロゴ

就職・転職を成功された方に、もれなく「転職祝い金」をお支払いします。

会員登録(無料)

関連する記事はこちら

CLOSEMENU