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株式会社ユーグレナ 出雲充 不可能なことを可能にする、ミドリムシの未知なる力

JOBSHIL編集部
株式会社ユーグレナの代表と企業ロゴ
株式会社ユーグレナの代表のプロフィール写真

株式会社ユーグレナ
代表取締役社長
出雲充

東京大学在学中に学外活動の一環としてバングラデシュを訪問し、NGOでインターンとして働く。帰国後、大学3年生への進学時に農学部に転部。卒業後は東京三菱銀行に入行するも、1年後に退職。2005年8月、株式会社ユーグレナを設立し代表取締役に就任。同年12月に微細藻類ユーグレナの世界でも初となる食用屋外大量培養に成功。2012年、Japan Venture Awards「経済産業大臣賞」を受賞し、世界経済フォーラムの「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出される。
生年月日: 1980年 出身: 広島県 出身校: 東京大学

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※この記事は「2014/05/30」に「ビジョナリー」に掲載されたものを、JOBSHILに転載しております。

出雲さんの育った家庭環境が気になります

サラリーマンである父と専業主婦の母、私と弟の4人家族で、多摩ニュータウンに住むという絵にかいたような一般家庭で育ちました。

ベンチャーという言葉さえ知らず、公務員かサラリーマンになるだろうと思いながら実にのほほんと暮らしていました。

大学在学中のバングラデシュ訪問が会社設立のきっかけになったとか?

私の周囲には海外へ行く友人が多かったのですが、私は海外旅行未経験でした。

そこで大学1年の夏に、「誰も行ったことがないような珍しい国へ行こう」と思い立ち、多くの学生が向かうインドから、ちょっと矛先を変えてバングラデシュへ行くことに決めました。

世界で最も貧しい国といわれ、目立った名産品も観光地もないバングラデシュで、世界の現実を学ぼうとNGOでインターンをしました。

行く前まではバングラデシュの子どもたちは皆、お腹を空かせてひもじい思いをしていると勝手に想像していましたが、実は1日3食ダール(豆)カレーが食べられる国で、飢えて苦しんでいる子どもはほとんどいなかったのです。

ただ、果物も野菜も卵も牛乳も流通しておらず、栄養が絶対的に不足している状況。つまり問題は飢えではなく栄養失調でした。滞在している間に友人もたくさんでき、帰国してからはどうしたらこの問題を解決できるかを考える毎日でしたね。

「どこかに良い栄養素はないか」と探していた大学3年の時に、授業と創業メンバーの一人である鈴木に教えてもらい、「ミドリムシ」と出会いました。ミドリムシは「ムシ」と名前がついていますが、ワカメなどと同じ「藻」の一種で、植物であり動物でもあるという不思議な微生物です。最大の特徴は「自力で動くこと」と「植物・動物両方の栄養を兼ね備えていること」。

人間に必要なビタミン・ミネラル・アミノ酸・動物性タンパク質など59種類もの栄養素が含まれ、効率的に栄養を摂取できることから、このミドリムシをバングラデシュの子どもたちが食べれば栄養失調が解消できると考えました。しかし当時はミドリムシを産業とするぐらい作ることができる大量培養の技術もなければ、ミドリムシを研究や製造しようとする会社がそもそもありませんでした。

田んぼや水たまりなど、ミドリムシは比較的身近にいる生き物ですよね?

ミドリムシは栄養価が高く、日本では1980年頃から注目されはじめましたが、培養が非常に難しいため20年以上も研究され続けていました。研究者たちが長年苦労されてきたのは、空気中のバクテリアや雑菌、その他動物プランクトンなどがミドリムシをどんどん食べてしまうという現象でした。

そうなると培養液は白濁したり、茶褐色に変色します。けれど今、このビーカーには2,000万匹くらいのミドリムシがいて、美しい緑色なのはミドリムシが健全に育っている証拠です。実はこの培養液に秘密があり、ミドリムシ以外の微生物や細菌は入ることができず、ミドリムシだけが生き残れる環境をつくり出せるため、弊社は世界で初めて屋外での大量培養に成功しました。

2005年8月に会社を設立し、12月に屋外大量培養に成功していますから非常にスピーディに感じるかもしれませんが、それは過去25年間、ミドリムシの研究・培養に尽力された研究者の蓄積があったからです。四半世紀目に私たちが成功したというだけで、9号目から頂上まで登らせてもらったようなものです。この成功はこれまで研究に携われた方の思いと研究成果の賜物です。

研究を重ねる過程で、次々と新しい可能性を発見されたのでしょうか?

当初はバングラデシュの栄養問題解決のために取り組んだミドリムシ培養でしたが、深く掘り下げて研究を進めるうちに次々と新しい発見がありました。

その一つはミドリムシから抽出されるオイルがジェット燃料になることで、空気中の二酸化炭素を利用して光合成するミドリムシ由来の燃料は、石油に代わる循環型の新しい燃料です。現在、ミドリムシで空を飛ぶという目標に向かって、JX日鉱日石エネルギーや日立製作所と共同で開発しています。

我々はミドリムシ培養の専門家ですから、場合によってミドリムシ入りのクッキーはブルボン、ミドリムシ味噌汁は永谷園と、それぞれのプロフェッショナルたちとミドリムシの新たな可能性を共同で開拓し、世の中に送り出そうと思っています。

ミドリムシにも得意分野や個性があると聞きましたが…?

お米と一言で言っても「あきたこまち」や「コシヒカリ」があるように、ミドリムシにも100種以上の種類がいます。全てのミドリムシがバイオ燃料の原料に適しているわけではなく、全てにビタミンが豊富に含まれている訳でもありません。

薬用、食用、CO2削減用など用途や目標に合わせて、一芸に秀でたミドリムシをプロデュースするのが私たちの仕事でもあります。

社長業を大変だと感じることはありませんか?

社長の仕事はいわば郵便配達。会社に依頼される業務や研究を、お客様に喜んでもらうには誰に任せるのが一番良いのかを選び、信頼してお願いすることです。

私以外は全員、営業や研究、経理のプロフェッショナルですから、私の仕事はそのメンバーを集めた時点である程度整っていると思っています。

私がミドリムシの会社を起業すると言った時、誰もがネガティブな反応をしました。設立後もうまく行ったことの方が少ないくらい、失敗も苦労も多々あります。

弊社のスタッフがこんなに前向きでへこたれない性格でなかったら、社長を続けられなかったかもしれませんね。

今後の展開をお聞かせください

2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、2つのストーリー考えています。一つは東京に集まるお客様たちを運ぶ航空機を、ミドリムシからつくったバイオジェット燃料で飛ばすことです。

世界でも資源を持たない国「日本」が国産のエネルギーを使って飛行機を動かしているとなったら、世界各国から来た人々が「これは何だ!?」と混乱する(笑)。想像するだけで楽しいですね。

もう一つは、バングラデシュの学校給食でミドリムシを食べてもらい、栄養失調を改善した子どもを1千人→1万人→100万人と増やすことです。するとまたここで「世界では貧しい国なのに栄養失調の子どもがいなくなった!」「ミドリムシを食べているからだ!」世界中がビックリする(笑)。

すると2020年以降、「ミドリムシとは何だ!?」とワールドワイドに認知度があがりブームが広がっていきます。結果的にエネルギーは石油からバイオ燃料へ移行し、CO2も削減でき、人々がバランス良く栄養を摂取して健康になります。つまりミドリムシが世界を変え、地球を救う時代が到来します。

その実現こそが私たちの目標です。ただ、日当たりや天候によってミドリムシの生産量・収穫量は変動してしまうので、エネルギーとして安定供給させることが目下の課題でもあります。

バイオ燃料は世界中の注目を集めていますが、安定供給できない理由を天候や自然だと言い訳にしている間はエネルギーとしては使えません。これには科学の力を駆使して全力で取り組むべきですね。

起業を志す人へメッセージをお願いします

ミドリムシにもこんなに可能性があるのですから、あなたのやろうとしている仕事はきっと大丈夫です。これは起業したい人というよりも、「起業をやめろ」「ベンチャーは危ない」と説き伏せようとする周囲へのメッセージかもしれません。

私が起業する時は多くの人から反対され、応援してくれない状況でした。でもその声に負けていたらイノベーションは絶対に起こりません。自分が「これだ!」と思うものを見つけたら、誰に何を言われても貫いてほしいです。

座右の銘を教えてください

「昨日の不可能を今日可能にする」。ロシアの世界初のロケット発明者、コンスタンチン・ツィオルコフスキー先生が残した「今日の不可能は明日可能になる」という素晴らしい言葉です。

この「明日」を、一日早い「今日」可能にしたいという思いから座右の銘としました。明日では間に合わないかもしれない人に、今日その可能性を届けたい。そのために必要なものは「テクノロジー」なのです。

私たちができるバイオテクノロジーの分野で、昨日不可能だったことを今日可能にしていきたいと思います。

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