“企業経営に向き合う精鋭専門家集団”

汐留パートナーズグループ
代表
前川研吾

インタビュー: 2013/12/13

1981年北海道生まれ。北海道大学経済学部卒業。 公認会計士・税理士・行政書士。アーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young)メンバーファームである新日本有限責任監査法人監査部門にて、建設業、製造業、小売業、金融業、情報サービス産業等の上場会社を中心とした法定監査に従事。また、同法人公開業務部門にて 株式公開準備会社を中心としたクライアントに対する、IPO支援、内部統制(J-SOX)支援、M&A関連支援、デューデリジェンスや株価算定等のFAS業務等の案件に数多く従事したのち、独立、汐留パートナーズグループCEOに就任。また、Shiodome Partners (HK) Co.,Limited及びShiodome Partners (Singapore)Pte.LimitedのRepresentative Directorとして、汐留パートナーズグループのアジア進出に注力する一方で、クライアントの海外事業のサポートも行っている。

生年月日:
1981年
出身:
北海道
出身校:
北海道大学

- 北海道の釧路のご出身なんですね。

そうですね。生まれも育ちも釧路です。18歳で北海道大学経済学部に合格・入学し、札幌で4年間大学生活を送りました。卒業後すぐ公認会計士試験に合格し、東京の監査法人に就職しました。

- 会計士を目指されたのは、その職業に思いがあったのでしょうか?

いえ、もともとはITなどの分野で起業してみたいという思いがありました。ですが、アルバイトに明け暮れているうちにあっという間に大学3年生の秋になってしまいました。大学の学部は経済学部だったのですが、ミクロ経済・マクロ経済という、政治の世界に飛び込まないとなかなか活用できない学問的な内容がどうも好きになれませんでした(苦手だったこともありましたが・・・)。また、周りのみんなが就職活動を始めていく中で、自分は何がやりたいのかわからず悩んでいました。そんな時に、授業で会計学や経営学に出会いました。きっかけは簿記でした。会計学&経営学なら、自分の知識や経験で誰かの役に立つことができるのではないか?そう思うようになり公認会計士を目指しました。

- 監査法人ではどのようなお仕事に携わられたのでしょうか。

入社当時は、売上高数兆円の大手家電メーカーの子会社の監査を担当しました。例えば、製造業、ITサービス業、物流業、金融業、不動産業などさまざまなグループ会社の監査に携わることができ良い経験ができました。日本全国先輩たちとたくさん出張にも行きました。

- そこで、さまざまな会社を見られてきたわけですね。

そうですね。とはいえ、最初の頃は担当させていただく会社はどこもものすごい大企業なので、自分が現場で何をしているのかがよくわからず、無我夢中で毎日過ごしていました(今になってやっとわかったこともあります)。そんな中、より深い経験を積みたいと思い、売上高が数十億から数百億円規模の上場会社の担当をしてみたいと希望を出しました。大企業の場合、例えば預金口座だけでも何百、何千もあるので、その口座の金額が合っているか確かめるだけでもすごく時間がかかるんです。でも、例えば年商100億円ぐらいの上場会社に行くと、現場の会計士は3人くらいで、預金口座は数十個しかなく、現預金の監査が終わったら、次は借入金、その次は支払手形、固定資産と、どんどん経験させてもらえるので、いろいろなことを学ぶことができました。
その後、以前より兼務していた公開業務部に完全移籍しました。公開業務部では、主にベンチャー企業がIPO(株式公開)を果たすために必要なお手伝いをさせていただきました。ダメダメだけど勢いはすごい会社さんが、コンプライアンスを遵守し、どこに出ても恥ずかしくない立派な会社へと変身していくわけです。顧客のため「一緒に考える」といったコンサルタントとしての視点も求められてきます。これまで大企業、そして中堅企業を見てきた自分の経験を存分に生かせる機会を得ました。数年の経験を経て、晴れて公認会計士となり、何があるべき姿なのか、何が間違っているのか、理解してしっかりと説明できる状態でクライアントと向き合うことができたので、クライアントからも信頼もいただき、やっていて本当にやりがいがありましたね。

- そこから起業されていくのはどのようなきっかけで?

監査法人は適正な監査を行い、最終的に監査報告書を提出することが最も重要な仕事です。それは監査部門でも公開業務部門でも同じなので、どうしてもお客様とは一線引いてお付き合いしなければならない。その壁を超えて、お客さんと同じベクトルを向いて仕事がしたいと思ってしまいました(笑)。お客様の利益=自分の利益、と、例えば社外CFOのような立場で100%同じベクトルで仕事ができないか。そのためには、コンサルタントや税理士として独立すべきではないかと。それで、2008年に汐留パートナーズグループを設立しました。

- 会社名にはどのような思いが込められているのでしょうか?

お客様のよきパートナーでありたいという思いで「パートナーズ」とつけました。また、「汐留」に住んでいたということもあり、この近年開発された新しいエリアで若い力によって日本の産業界に活力を与えて貢献したいという思いもありました。

- 起業にはいろいろご苦労もされたのでは?

独立した年はくしくもリーマンショックの年でした。IPOコンサルをはじめとした会計コンサルティング事業を主体として起業したのですが、しょっぱなから出鼻をくじかれマイナススタートとでした。そこで、小さくても1つ1つのお仕事を大切にして、特に税理士として会計税務顧問業務をさせていただくべく動き出しました。ですが、税理士業務というのもなかなか大変で、中小企業にとって税理士は何でも知っている、中小企業のお医者さんみたいな存在なので、お客さまからさまざまなことを聞かれます。従業員の給与のことや、法律トラブルについても、税理士なら何でも知っていると思って相談してきます。これは信頼いただき相談していただけているのでとても嬉しいことなので、そこで「分からない」とは言いたくありませんでした。そこで夜な夜なインターネットのSNSを利用して、助けてくれる社会保険労務士を探しました。そこで出会ったのが、現パートナーの社会保険労務士の今井です。実は彼も「独立したい」という気持ちがあり、じゃあ同じ汐留パートナーズとして一緒にやろうじゃないかということになりました。また、お互い見習いのときからつき合いのある弁護士の佐藤も加わり、今井の紹介で海事代理士の古口に出会いました。今井は汐留社会保険労務士事務所、佐藤は汐留パートナーズ法律事務所、古口は汐留海事法事務所と、メンバーが一人また一人と加わって、今に至ります。

- そのような専門家集団というスタイルは、あまり見ないと思うのですが。

たとえば、全然業種は違いますがユニクロのようにリーズナブルで品質も保たれている物がどこに行っても安心して買えるようなお店ってすごく魅力的ですよね。ですが、私たち会計事務所業界ではあまりないことなんです。クオリティコントロールがしっかりできていて、コストパフォーマンスが良い、そんな事務所があってもいいんじゃないかと思ったんですね。というのも士業の方々は、良くも悪くも個性が強い方が多いので、その人の個性が全面に立ちすぎると、会計事務所という組織を大きくすることは難しいのだと思います。それはどういうことかと言うと、たとえば僕が「前川事務所」と自分の名前を付けると、お客さまからは「前川さんがいないとダメ」と言われてしまいます。でも自分が直接担当できるお客様はせいぜい20~30社ぐらい。でも組織体制が磐石で優秀なメンバーがたくさんそろっている“汐留パートナーズグループ”が、高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供できれば、ここに任せておけば間違いはないと思っていただけるのではないかと思いました。

- それぞれの分野の専門家たちをどのようにまとめられているのでしょうか?

組織が大きくなると、立ち戻る原則がないと、バラバラになってしまうため、「クライアント第一主義」「従業員の家族の幸せを大切にする」「プロフェッショナルとして社会貢献」という3つの経営理念を全員で共有するようにしています。お客さまのために全力を尽くすことは当然ですが、やはり自分の身近にいる人を大切にできなければ、お客さまのことも大切にできません。また、国家資格を有している者たちが集まっている以上、社会貢献の意識は持っていたい。この3つさえ共有しておけば、意思統一でき経営していくことができると思います。バーベキュー大会や社員旅行なども毎年開催し、時には家族の方々にも参加していただき、みんなでこの経営理念を共有する機会を大切にしています。

- グループを統括するCEOとして、運営を考えた場合に大切にしていることは何ですか?

会社は一瞬儲けることは簡単でも、永続することはとても難しいことだと思います。ですので経営理念を大切に「組織の発展・永続」を目指していきたいと思います。10年たったら会社はたった5%しか残りません。30年たったら2%。それぐらい会社というのは続けることが難しい。だからこそ組織を永続させることに挑戦したいと考えています。そのために組織が誤った方向にいかないように軌道修正することがマネジメントとしての僕の仕事でもあります。また、「お客様に負けたくない!」という気持ちがあります。本当に優秀な社長さん、勢いのある会社を見ると、自分も一経営者として悔しいですし、そのような立派な方々にまがりなりにもアドバイスをさせていただくのですから、私たち汐留パートナーズも一企業として常に成長し続けていきたいと思います。

- 海外にも拠点がありますが、グローバル展開についてはどうお考えですか?

最近特に海外事業展開を考えているお客さんが多いです。そのお客さまにアドバイスをするためには、いろいろな国の税制や法制度に精通していなければなりません。私たちは、アジアのハブ機能としての、香港とシンガポールに現地法人をおくことで、実体験として勉強することができますし、お客さまと同じ視点で、説得力のある最良のアドバイスをすることもできます。僕は常に相談を受ける側が、お客さんよりも一枚二枚上手じゃないと意味がないと思うんです。それでこその専門家集団ですしね。

- 今後の展開はどのように?

興味があるのはアメリカ、特にシリコンバレーですね。最近上場を目指しているお客さんはIT企業が多いので、そうするとシリコンバレーとの関係は避けては通れない。以前参加した講演会でソフトバンク孫正義さんの実の弟である孫泰蔵さん(ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社代表取締役会長)が「Think Big!」おっしゃっていました。日本語でアプリやゲーム作って、売れたら英語版を作るのではなく、最初から英語でグローバルに販売して売れたら日本語版を作るという大きな発想を持つことが重要で、まさに、最近はそのように行動されている経営者の方が増えています。現在、汐留パートナーズグループでは、シリコンバレーの会計事務所と提携していますが、いずれはアメリカにも会計事務所を作りたいという思いがありますね。
また、もう1つ展開していきたいこととして企業価値最大化のためのご提案としての「M&A・組織再編アドバイザリーサービス」です。2013年8月に株式会社汐留総合研究所という会社を設立しました。こちらの会社では、中小企業から大企業までを幅広くターゲットとしてM&Aや組織再編を通じて企業価値最大化のための経営戦略をご提案しています。日本の多くの業界においては、すでにビジネス環境が成熟しており、どの企業においてもM&A・組織再編というテーマは、より一層重要な経営戦略になることでしょう。

- それをやってしまう、前川さんのモチベーションは何でしょうか?

一生に一度きりの人生なので思い切りやってみたいという気持ちもありますね。また、たくさんのステークホルダー(利害関係者)の皆様のおかげで今の自分たちがあるので、組織を永続しいろいろな形で社会貢献をしていきたいと思います。会社にとって現状維持は衰退を意味することだと思っています。もちろんどんなに頑張っても現状維持になることもありますが、だからこそ常に前を向いていかないといけない。

- 転職を考えてる人に向けてメッセージをいただけますか?

私たちのグループにも、いろいろな業界出身の者が、「税理士になりたい」「社会保険労務士になりたい」「行政書士になりたい」など、一念発起して国家資格を目指し転職してきています。世の中にはさまざまな会社があると思いますが、まずは自分を客観的に分析し、自分に合う会社を見つけることが重要だと思います。自分にとっての仕事のプライオリティーを考えて、それが合致している会社を探すことをおすすめします。営業で商品を売るにしても、イヤイヤ売るのはよくないと思うので、自分が世の中に広めたい、好きだなと思えるような商品を販売している会社に就職したほうがいいでしょう。もしも自分のことがよくわからないという方は、自分が何を大切にしていて、どういうスタンスであれば一番HAPPYだなぁと感じられるかを考えてみるとよいかもしれませんね。

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