“独自性あふれるコンテンツでコミュニティをデザインする”

株式会社ワンオブゼム
代表取締役社長CEO
武石幸之助

インタビュー: 2014/08/22

東京大学大学院学際情報学府修士課程を修了後、2005年に株式会社サイバーエージェントに入社。アメーバブログ立ち上げに携わるほか、メディア広告、新規事業責任者、アメーバ事業本部ゼネラルマネージャーなどを経て、2011年に株式会社ワンオブゼムを設立。「自分たちが楽しく働かずに、楽しいコンテンツは生み出せるもんか」をポリシーに、モバイルゲームやアプリケーション事業などを展開する。

生年月日:
1980年
出身:
北海道
出身校:
東京大学大学院

- 生い立ちについてお聞かせください

生まれは北海道。そこで祖父も父も事業を立ち上げ、ビジネスを展開している家庭で育ちました。幼い頃から起業というものがとても身近であったと同時に、ビジネスの怖さも目の当たりにしていました。とはいえ、私自身は将来起業しようなんて全く考えていなかったんです。大学進学と同時に上京し、学生時代は研究者の道に進もうと考えていました。でも現在、会社を立ち上げて経営者の道を歩んでいるわけですから、血は争えないのかもしれませんね(笑)。

- どのような経緯で起業を考えるようになったのですか?

大学院卒業後は株式会社サイバーエージェントに入社し、現在のAmeba事業の前身であるアメーバブログの立ち上げに携わりました。その後もさまざまな新規事業を手掛けるうち、事業を興す面白さを感じるようになったのです。ちょうどその頃はフィーチャーフォンからスマートフォンへの過渡期でもあり、ソーシャルゲームが大きな盛り上がりを見せていました。世の中が変わろうとしている節目の中で、「チャレンジするなら今だ」と考え、起業を決意したというわけです。

- 「ワンオブゼム」という社名に込めた思いとは?

私たちは「Be The One」という共通理念を持っています。今はまだOne of Themに過ぎない存在かもしれませんが、目指すところは「The One」。逆に言えば、The Oneを目指さない限り、いつまでたってもOne of Themから抜け出すことはできません。その自戒を込めた思いは、社名の英字表記である「(THE) ONE of THEM」にもあらわれています。自分たちの存在を確立する独自のモノ作りを追求し、いずれカッコを取り払った「The One」になろうと。また、「The One」と同時に掲げているキーワードが「超爆速」です。The Oneだけを目指していると、ややもすれば成長速度が鈍化しがちになってしまうので、それを打破するためのスピード感というものを意識するようにしています。

- コンテンツへのこだわりについてお聞かせください

オリジナル志向、独自志向へのこだわりは非常に強く、誰かの真似ではない、ある種独特の世界観を持ったコンテンツ作りを大切にしています。自社コンテンツについてはもちろん、他社と提携して作るものであっても、やはり何かしらのオリジナル色を打ち出していきたいですね。また現在、ゲームはプレイそのものだけでなく、その向こうにあるユーザー同士のコミュニケーションを楽しむためのものになっています。私たちが提供しているのは人が集う場所、いわばコミュニティの種なんです。でもこれは、実は今も昔も同じ。据え置き型のゲーム機が主流だった時代でも、友人同士でゲームの話で盛り上がったり情報交換をしたりしていましたよね。私たちはゲーム企業ではなく、コミュニティを提供している。そういう考え方を前提にコンテンツ作りをしています。

- 会社の中で大切にしている文化はありますか?

当社の社員平均年齢は約28歳と、とても若い会社です。若い分これから経験しなければいけないこともたくさんありますが、そのためにも、自ら声を上げ実行するというコミットメントを非常に重視しています。創業以来、私が一貫して目標としているのは、世界に通用するコンテンツビジネスを作り上げること。でもそれは私一人で成し遂げられるものではなく、社内全員が同じ方向を目指して初めて実現できるものです。目標を実現するためのコミットメントを生み出し、社内の若いメンバーが成功体験や達成感を得て成長していく。そのための権限や環境を用意するのも私の務めだと思っています。カフェ風スペースやリビング風スペースなどを設けたユニークなオフィス内装もその一つ。ただ単にキレイでおしゃれなオフィスというのではなく、クリエイティブな生産性を高め、安心、満足して働ける場所を作るという観点から設計しました。

- 海外展開についてはどのようにお考えですか?

現在は東南アジアにフォーカスしており、特にベトナムの拠点には社内の約30%を占める人数のメンバーが在籍しています。ゲーム・エンタテインメントコンテンツというのは、国内に限らず万国共通で楽しめるもの。今後は日本ならではのコンテンツづくりのスキルを海外にも浸透させ、プロデュースしていきたいと思っています。海外のメンバーとの文化的な交流の中で新たな発想が得られることもありますし、大きな経済発展に向けた新興国のエネルギーは事業拡大へのヒントにもつながりますね。

- 失敗談はありますか?

ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正氏の言葉にもあるように、ビジネスの世界はまさに「一勝九敗」。たとえ大きく勝つフェーズがあったとしても、それ以外の時期は試行錯誤の連続です。その試行錯誤の中で、経営者を含めてメンバー全員が、自分の弱さやミスをどれだけ乗り越えられるか。2011年に創業してから現在に至るまで、本当に失敗は山ほどありますよ。でも、たとえ状況が悪くても「どうしてこんなにうまくいかないんだろう」と落ち込むことはないですね。人生は一次関数のように常に右上がりであるはずがなく、時には下降しながらも少しずつ上昇していけばいいのです。もともとそういう考えなので、うまくいかない時でも、むしろ逆境を楽しむくらいの気持ちをもっています。

- 起業を志す人へのメッセージをお願いします

私は、できるだけ多くの人達が起業して、世の中に新しい価値を作っていってもらいたいと思っています。IT技術の進歩に伴い、これからの社会ではおそらく人の手で行う仕事というのはどんどん少なくなっていくでしょう。その中で人間にしかできないことの一つが、新たな事業を作り出すこと。新たな価値を生み出し、それを形にする。そんな人たちが増えていかないと世の中は変わらないと思うんです。先ほど「一勝九敗」の話をしましたが、その「九敗」を乗り越えられずに、諦めたり理念を曲げてしまう人もいると思います。でもそこで「なにくそ」と乗り越えることができれば、その先には必ず大きな光がある。起業を志すのであれば、ビジネスにおけるマイナスの局面も含めて楽しめるような人であってほしいと思います。おそらくその過程で人の弱さやドロドロした部分にも直面し、ありとあらゆる経験をするでしょう。ビジネスはいわば壮大なゲーム。マイナス面から目を背けずに、大きなものを作り上げていってほしいですね。

- 好きな言葉があれば教えてください

アントニオ猪木さんが現役時代、試合前に言った「出る前に負けることを考えるバカがいるかよ!」という言葉がとても好きです。あと、言葉ではないのですが、カラオケに行くと必ず歌うと言ってもいいほど好きなのが、DREAMS COME TRUEの「何度でも」。聴くたびにテンションが上がって前向きな力をくれる、すごい歌だと思います。

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