“双方向コミュニケーションで世の中に価値あるサービスを”

株式会社サイバー・バズ
代表取締役社長
高村彰典

インタビュー: 2014/09/19

大学卒業後、興和株式会社に入社。ウェブ部門に携わり、1999年に株式会社サイバーエージェントに転職。インターネット広告事業においてトップセールスを達成し、2005年から5年間取締役を務める。2010年、株式会社サイバー・バズ代表取締役に就任。ソーシャルメディアを用いたクチコミマーケティングを中心に、ヘルスケアに特化したQ&Aサービスなども展開している。

生年月日:
1974年
出身:
岡山県
出身校:
青山学院大学

- 幼少の頃のお話をお聞かせください

実家が自営業だったこともあり、小さい頃から「自分でビジネスをやりたい」という思いを持っていました。モノをいくらで仕入れていくらで売るとどれだけの利益が出るか、という“商売感覚”のようなものは、幼少時から肌で感じていましたね。学生時代に仲間と事業を興そうと話したことがあったのですが、結局立ち消えになり、普通に就職活動をすることに。でも社会人になってからも、心のどこかにモヤモヤした思いをずっと抱えていました。

- その後商社を経て、サイバーエージェントに入社されたのですね

大学卒業後に入社した商社では、ウェブを中心にシステム整備に携わる部門に配属されました。転機が訪れたのは1999年。当時創業間もなかったサイバーエージェント代表の藤田晋氏と共通の知人を通じて出会い、「インターネット市場は今後飛躍的に成長する」「日本の経済を自分たちで変えていこう」というメッセージに大きな共感を覚えました。転職を決めた一番の理由は、ベンチャー企業において自分で事業を作る経験を積みたいと思ったからです。その頃国内では、世間的に名の知れた大企業が立て続けに倒産していました。大企業であってもいつ倒産するか分からない。もしそうなった時に今の自分に事業を興す力はあるだろうか、と考えたのです。でも実は、入社するまでサイバーエージェントが何をしている会社なのかよく分かっていませんでした(笑)。

- どのような経緯で代表に就任されたのですか?

私が入社した頃のサイバーエージェントは社員数わずか数名。「何としても会社を大きくしなければ」という一心で、がむしゃらに突き進む日々でした。そして2005年から5年間、取締役を務めることになったのです。サイバー・バズは、役員として立ち上げ当初から管轄していた子会社の一つ。スマートフォンの普及とともに、ソーシャルメディアのユーザーは爆発的な増加を見せていました。そうなると当然ユーザー同士のコミュニケーションが多くなり、その中で「クチコミ」というものが非常に大きな力を持つようになります。インターネットサービスの中でも、当社が主力としているソーシャルメディアを用いたマーケティング事業は、今後伸びていくだろうという確信がありました。そこで役員交代のタイミングだった2010年、サイバー・バズの代表に就任し、この強みをさらに生かしていこうと考えたというわけです。

- サービスの特徴についてお聞かせください

ブログやSNSなどのソーシャルメディアにおける、メディア事業と広告代理事業を展開しています。インターネット上で何か情報を得たいと思った時、これまでは検索エンジンを使って探すのが一般的でした。しかし現在では、ソーシャルメディア上に発信される情報を、ユーザー自身が取捨選択する時代になってきています。つまり、情報を探す方法自体が大きく変化している。そのような状況においての当社の一番の特徴は、ソーシャル影響力が強いユーザーを多数会員として抱え、さまざまな形でのクチコミマーケティングを可能にしている点です。中には、個人で10万人以上ものフォロワーを持つ方もいるんですよ。会員が実際に商品やサービスを試し、その実体験がクチコミとなって拡散されるわけですから、その影響力は多大なものがあります。

- 今後の事業展開についてはどのようにお考えですか?

インターネット上の情報は玉石混淆です。同様に、個人がソーシャルメディアで発信する情報も、全てが信用できるかというと、必ずしもそうではありません。信頼性の高い情報を提供し、社会に貢献したいと考え、「Doctors Me(ドクターズミー)」というQ&Aサイトをスタートさせました。体に関することや病気、ケガ、子育ての悩みまで、医師や看護師、カウンセラーなどに相談できるほか、同じような悩みを持つ人のQ&Aを閲覧することもできます。匿名性なので気軽に質問できますし、専門的知見を持つ医療従事者からの信頼度の高い回答が得られます。現在は医師以外にも、歯科医、薬剤師、介護福祉士、栄養士、獣医、カウンセラーなどの士業・専門職従事者に月額300円(税抜)で何度でもPCおよびスマートフォンを通じて相談することができます。今後は健康に関する様々な情報の掲載を強化し、ヘルスケアサービスとしてコンテンツを拡大していきたいですね。彼ら知見ある専門家を私たちはキュレーターと呼んでいますが、そういった人たちとのコミュニケーションの場を作り、安心を提供したいと考えています。

- 日頃大切にしている考え方を教えてください

「継続は力なり」。今の世の中は変化が激しく、人の興味の移り変わりも激しいですが、その中でもコツコツと何かを続けていくことが大きな成果につながると思っています。ビジネスにおいても努力しなければ成長はないですし、時代の変化にも対応できないでしょう。またもう一つ心がけているのは、上向きの時には気を引き締め、状況が悪い時ほど気持ちを盛り上げる、ということです。うまくいっている時にはどうしても気が緩みがちになります。過去の経験からも、そういう時に限ってトラブルが起こることが多いんです。

- 社内に根付いている文化についてお聞かせください

「チーム」ということをとても意識しています。個人の能力は当然重要ですが、それに加えて、チーム一丸となって高い目標を達成していこう、と。全員が共有すべき行動指針として、クレドの中でも筆頭にあげているのが「全員営業、全員メディア、全員経営者」。どんな仕事も一人では成し遂げることはできません。職種の壁を超えて互いの気持ちを理解し合い、判断に迷った時には経営者の立場になって考える。これから会社がどれだけ大きくなっていっても変わることのない当社の信条です。また、社内のコミュニケーション活性化のために、定期的にシャッフルランチを実施しています。アルバイトも含めた全社員を部署に関係なくシャッフルし、グループに分かれてランチを食べるんです。普段の業務ではあまり接する機会のない人同士が話し合うことができ、チームとしての意識向上にも役立っています。

- 印象に残っている失敗談はありますか?

サイバーエージェントに在籍していた頃、業績が伸び悩んでいた時期があり、その原因が離職率にあることに気づきました。積極的に人を採用しても、1年経ってみるとほぼ同じ人数が退職しているような状態だったのです。人が増えれば売上も伸びます。それが入社しては辞めの繰り返しでは、当然業績も停滞してしまう。環境的な厳しさもあったのかもしれませんが、そこはマネジメントにおける反省点だと思っています。現在は経営者の立場ですが、極力「人に任せる」ということを意識するようにしています。たとえ自分が介入した方が楽であっても、ある程度の責任と裁量権を与えることが、その人の成長のために重要だと思うからです。

- 将来へ向けたビジョンをお聞かせください

当社は「コミュニケーションを価値に変え、世界を変える」というビジョンを掲げています。今は、ソーシャルメディアやスマートフォンの普及によって、世界中の人々が同時につながることができる時代です。普遍的なコミュニケーションを最大化し、価値に変えていけるようなマーケティングを提供し、それを実現するNo.1のサービス創りを目指したいと思っています。さらに、今後5年以内には世界に打って出られるようなサービスを作っていきたいですね。