“「モノづくり+サービス」で かつてない顧客価値を創造”

エムケー精工株式会社
代表取締役社長
丸山将一

インタビュー: 2014/10/20

1997年、証券系シンクタンク株式会社大和総研に入社。主に、上場企業を中心とする投資銀行関連業務に携わる。2007年から3年間、慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員を兼務し、金融および情報通信放送行政のポリシーウォッチを担当。2010年5月エムケー精工株式会社に転じ、2012年3月に代表取締役に就任。オート機器、情報機器、生活機器における研究開発型完成品メーカーであるとともに、製造から販売、アフターサービスまで一貫した高い顧客バリューを追求している。

生年月日:
1972年
出身:
長野県
出身校:
早稲田大学大学院

- 幼少の頃のお話を聞かせてください

長野市内の自然豊かな小学校に片道30分かけて通っていました。男子は全員、少年野球をやる地域だったため私も野球をしていて、ほかにも水泳、剣道、書道、エレクトーンなど、習い事をこなす毎日。そして、春は林檎の花摘みやヨモギ採り、夏はザリガニやフナなどを釣り、カブトムシやクワガタなどの昆虫採集をして、秋はキノコ採り、冬はソリやミニスキーなど都会では味わえない貴重な体験をしながら育ちました。また、児童会長などリーダー的な役割も多く経験しました。一方、大学院時代は東京大学物性研究所に在籍していたのですが、「こんなことも知らないのですか。小学校の教科書に書いてあったでしょう。」「物事の本質を理解しなさい。」と叱責を受けたことがあり、もう少し勉強をしていれば良かったと後悔している部分もあります(笑)。

- 幼少や学生時代の体験が今のビジネスに結びついている部分は?

様々な経験をしたことで“引き出し”がたくさん生まれ、ビジネスで知り合った方との話題では大いに役立っています。それから、大学院時代と新卒で勤めた大和総研で、「世の中にはものすごく優秀な方々がいる、頭脳だけで追い越すことはできない。」と実感して、自分のポジショニングを真剣に考えるようになりました。ひとつの分野だけに特化したスペシャリストでは負ける、だったら何が来ても対応できる異分野を横断した幅広い知識とコミュニケーション能力、加えて誰にも負けない健康な体を追求しようと思ったのです。

- 社会人になった頃の話をお聞かせください

1997年、大学院修了と同時に証券系シンクタンクの大和総研に入社しました。入社2年目に中央府省の担当となり、提案営業から納品アフターまでのすべてを厳しく指導され、契約手続き、ドキュメント化スキル、交渉スキル、プロジェクト管理スキル、ひとつもミスを許さない徹底したチェック、顧客視点に立った問い合わせ対応など、「仕事の厳しさ」を痛感しました。失敗から学ぶことも多くありましたし、自分ひとりではどうすることもできない組織や仕組みの怖さを感じたこともありました。その後、地方公共団体や民間企業も担当し、プロジェクトリーダーを経験して今に至ります。

- 社長着任のきっかけと想いは?

30代になってから、上場企業を中心とする戦略系コンサルティング、さらには慶應義塾大学客員研究員を兼務しながら、金融および情報通信放送行政のポリシーウォッチを担当しました。そのなかで多くの企業経営者や官僚と接しながら、コンサルタントとしての業務と実業の世界とのギャップに違和感をもつようになりました。そのタイミングで、祖父が創業したエムケー精工を継がないかと声がかかったこともあり、これまでの経験を踏まえて会社をより良いものにしていこうと決意したというわけです。

- 社長に就任して苦労したこと、失敗したことは?

失敗はたくさんしていますが、全てを覚えていると頭がパンクしてしまいそうなので、内容は忘れるようにしています(笑)。ただ、どうやって人の背中を押すかという言葉選びにはいつも苦慮しますね。あまり慎重になってしまうと相手に重く受け取られてしまう可能性もあるので、なるべくフレンドリーに意図的に茶化すような方法をとっています。コンサルであっても社長業であっても、基本的なスタイルは変わりません。お客様がいらして、株主がいらっしゃる。社長であっても、その中であぐらをかいて仕事をするわけにはいきません。仕事に対する姿勢は、企業規模や立場など関係なくその本質は同じなのだと思っています。

- 社長として試みてきたことは?

私は今「質実剛健、質実な企業を目指しましょう」と言っています。前社長は四十数年もの長期にわたり社長を務めていましたから、私が本質的な変革をするには時間をかけなくてはなりません。実は私が入社した時は、過去の社歴の中で最も財務内容が悪い年でした。そこで社長になった後にまず行ったことは、コスト意識を徹底させること。その施策として、役員のための黒塗りの社用車を廃止し、私自身も東京と長野の往復にバスを使うようにしました。この試みについては声を大にして言うのではなく、時間をかけて浸透させようと考えていました。バスの請求書を経理に出すと、それを見た経理の女性が他の社員に話し、それが徐々に伝わり…という形で目立たないけれど、じわじわ広まっていけば良いと思ったのです。また、社員同士が話しやすくなるような工夫もしています。若手社員を中心にした勉強会もそのひとつです。お昼休みや就業後など、社員同士の会話のネタになればと思って、他業種のビジネスモデルから「シマウマはなぜあの模様か?」などといった様々なトピックスで議論しています。それから当社は全国42拠点に、営業、メンテナンスなどで300名程の社員がいます。製造業でありながら、自社で全国にこれだけのサービス網を抱えている会社はなかなかありません。トップダウンだけではなく、全国にいる現場の社員がお客様からいただいた声を聴き、商品開発に生かすことができます。今後もこのメリットを最大限に生かしていきたいですね。

- 社内で大切にしている考え方はありますか?

1つ目は、「失敗を恐れずに挑戦すること」。あらゆる分野に興味をもち、学ぼうとすることが新しいモノを創るきっかけになると考えています。チャレンジすることで、失敗したとしてもその失敗から次への道が開けていくかもしれません。モノづくり企業である当社は、社員一人ひとりのアイディア、経験が製品づくりに関わってきます。100あるアイディアの中で1つ成功すればいい。そんな意欲と情熱をもって社員がのびのびと働けることを重視していますし、当社に来て欲しい人材もそういう人ですね。2つ目は、「組織力を高めること」。会社というのは個々の能力を補い、組織で戦うものです。そのため、社内の経験的ノウハウや知識などを巡らせることを重要視しています。そのためには人材の交流が必要で、体に血が巡るように組織で「知のめぐり」を進めなくてはなりません。各担当者が部門を飛び越え、横断的にナレッジを共有することで、新しい価値を生み出せると考えています。

- 今後の事業展開についてはどのようにお考えですか?

コアコンピテンシーであるメカトロ(メカニクス+エレクトロニクス)とそれを支えるソフトウェアを中心に、他分野への横展開を考えています。当社は「オート機器」「情報機器」「生活機器」と、それぞれ関連性の薄いジャンルを手がけているように思われがちですが、根っこは同じです。たとえば、洗車機ビジネスモデルにおいて、「機」を外せば洗車ビジネスモデルになり、「車」を一般化すれば洗浄ビジネスモデルになるというようにコア技術を応用しながら新商品を開発することができます。このように、コア技術を応用しながら横展開していくことで、新たな市場を開拓し、社会に求められているモノをいち早く創造して企業の持続的発展につなげていきたいですね。さらに、積極的なグローバル化も考えており、ベトナムにある生産を担う関係会社を拠点にアジア市場を開拓していきたいです。同様に、情報部門、生活部門についても、既存商品のレベルアップとともに「ヘルスケア」「食」といったキーワードを中心に「高齢者」「農業」など長野県の特徴を取り入れながら横展開を図っています。何よりもお客様との信頼関係を大事にしながら仕事を継続できるのが理想ですね。

- 起業を目指す方へのメッセージをお願いします

いろんな経験を積むことと、それから、諦めない、くじけないことが大事です。ひとりでは何もできませんから、ご縁を大切にした方が良いと思います。長野は東京に比べて離職率が低く、羽ばたいていくというマインドが素地としてあまりない土地ですが、日本ベンチャー学会の会員である私としては、若い人たちにどんどん新しい世界に踏み込んで行って、大いに挑戦して欲しいと思っています。

- 座右の銘を教えてください

座右の銘は2つあります。1つ目は「継続は力なり」。小学校の恩師に「どんなことがあっても諦めるな。続けなさい。次の世界が見えてくるはず。」と言われて以来、私の行動に強く影響している言葉です。大きな成果とは時間がかかるもの。決してあきらめることなく、追い続けることが大事なのだと、いつも考えるようにしています。2つ目は「知行合一(ちこうごういつ)」。この言葉は今日すでに3回も社員に使いました(笑)。意味は、「知っているだけで行動しないのは、知らないのと同じ」ということ。いちいち全てを考えてからアクションするのでは遅すぎる。「知っています。」「検討中です。」「考えています。」このような発言ばかりで何も行動しない社内評論家は、役に立ちません。一方、何も考えずに行動するのも問題です。その結果、仮に成功したとしてもそれは単なる偶然であり、持続的なものではありません。だからこそ、とことん考えながら挑戦し続けるのです。そうすれば、途中で意図していることとのギャップに気づくことができ、軌道修正することができるはず。そもそも、一歩を踏み出し挑戦し続ける人は、「常に自分が正しい」と自信をもっているわけではありません。迷いの中で決断を繰り返しているのです。間違えたり、失敗したり、後悔しながらも、勇気をもって行動し続ける人が輝ける企業風土を作っていきたい。私は、そう考えています。

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