“クラウド会計システムで日本の中小企業を元気に!シニア起業家の大いなる野望”

アカウンティング・サース・ジャパン株式会社
代表取締役社長
森崎利直

インタビュー: 2013/12/13

1947年7月10日生まれ。兵庫県神戸市出身。甲南大学経済学部卒業。大学卒業後、日本オリベッティ(株)へ入社。1989年(株)日本デジタル研究所(JDL)入社、その後取締役に就任。2004年子会社のアイベックスエアラインズ(株)に転出、代表取締役社長に就任。2009年6月アカウンティング・サース・ジャパン(株)設立。クラウドによるSaaS会計システムを独自に開発し、会計事務所のシステムイノベーションを目指す。

生年月日:
1947年
出身:
兵庫県
出身校:
甲南大学

- どんな学生時代を過ごされましたか?

生粋の神戸っ子で、一人っ子の劣等感が強く人前に出るのも苦手で内気な子どもでした。それを打ち破ろうと大学時代に演劇部に入り、大きな舞台を何度か経験。そこから人前で話すことも楽しくなって、人柄も大きく変化したようです。

- 起業をしようと思ったきっかけはどんなことでしたか?

JDLではマーケティング部門を主に担当し会計事務所向けと一般企業向けのシステム企画、開発、そして販売促進全般を担当していました。その後、航空会社へ転籍→神戸のブロードバンド会社へと転職しましたが、そこで体調を崩して半年で退職。何か自分にできることはないかと、四谷の狭いレンタルオフィスで悶々と考えている時に、知人からクラウドの話を聞きました。これで40年間お世話になった会計事務所業界が抱える色々な課題を変えることが出来るのではないかと思い起業を決意しました。全国に3万2,500ある会計事務所業界は、40年近くもJDL・TKC・MJSの会計事務所専用ベンダー3社のシステムが8割を占める超寡占状態にあります。そこに殴り込みをかけるような起業でした。長年寡占状態が続くと、お客様第一主義であるべき企業姿勢も徐々に変化していますので、見直してほしいという思いもありましたね。

- 具体的に会計事務所向けのシステムについて教えてください

会計事務所の仕事は、本来の税務相談、税務代理等に加え、記帳代行と言われる伝票の起票や帳票作成まで大変多岐に渡っています。そして,経理処理ができる顧問先では自社で市販の会計ソフト等を導入して、その作成データを会計事務所に持ち込んで処理してもらう自計化が多くなってきています。
しかし、記帳代行、自計化のどちらにしても発生時点と監査、指導に大きなタイムラグが発生します。この課題を解決するのがクラウドによるSaaSシステムなのです。当社のシステムでは顧問先が入力したデータを会計事務所が任意に、違う言い方をするとリアルタイムに監査、指導することができます。そして、当社会員の場合には会計事務所が会計システムと給与システムを無償で提供してくれますので、市販ソフトを購入しなくて済みます。ちなみに、購入すると5年間で最低でも30万円近くかかります。北海道から沖縄まで全国に3万2,500件ある会計事務所が当社のA-SaaSシステムを導入してその顧問先が日々タイムリーな監査、指導が受けることが出来たとしたら、必ず中小企業の活性化が図れ、日本が元気になると考えています。

- システム開発のための資金調達は苦労しましたか?

当初の試算では開発資金は20億円弱にもなりましたが、これを米国風にオープンソースを全面的に取り入れ、シリコンバレーの先端技術を採用することで、最終的には10億円まで下げることが出来ました。そして、その10億円はA-SaaSシステムを利用する会員からの開発分担金と、経産省がベンチャー企業支援策として推進している「エンジェル税制」を活用して出資金で調達することに致しました。主に会計事務所の株主から5億4,000万円を調達。2013年6月にはクラウドNo.1企業セールスフォースと資本業務提携をし、GREEベンチャーズなどから6億2,500円の大型増資がありました。創業当時の資本金は1,000万円でしたが、2013年8月末には資本金8億182万円(準備金4億7132円)。2014年度には一般企業向けのクラウド会計システムのマーケット進出を計画しています。

- 会社のなかで大切にしている文化はありますか?

「何でも口に出して言えるオープンな環境」と、「家にいると同じようにホッとするファミリーな環境」を心がけています。ベンチャー企業では当たり前のことですが、創業者が抱く企業理念・事業目的に賛同して、それを実現したいと思うメンバーが結集していますので、経営上で手段や手法はその時の状況に応じて変わっても、「企業理念と事業目的」が決してぶれないことが大切だと思っています。
またシニア世代による起業だったこともあり、「老・壮・青」の役割分担を重視しています。創業者の「老」が経験を生かして理念を考え、「壮」が具現化して実務を取り仕切る、そして「青」が先輩と一緒に仕事をすることで学ぶ、という考え方です。これからの社会全体の就業形態を考えるうえでも、非常に大事なことだと考えています。

- 今後の展開はどのようにお考えですか?

まずは我が社のシステムで会計事務所マーケットの市場占有率15%を目指します。次に、中小企業向けのSaaS会計システムを新たに開発して、一般企業マーケットに進出。最終的には、会計事務所を核とした顧問先とのネットワークをベースに、ビジネス支援プラットフォームを世界規模で構築することによって、全国の地域経済の活性化を目指しています。私が地域航空会社にいた時、私は就航地である色々な地方都市を「地域の活性化に役立つには何が出来るか」と云う視点で見て来ました。また次のブロードバンド会社に在職した時も同様のことを考えていました。そして、その結果分かったことは、疲弊する地域経済を活性化には「交通インフラ」「情報インフラ」の整備だけではダメで、最終的にはその地域に密着した「人のインフラ」が必要だと云うことです。その意味で、今回のクラウドによるSaaS会計システムで構築される会計事務所と顧問先のネットワークをベースに、地域経済の活性化に繋がるような事業展開をやりたいと思っています。

- 起業を志す人へのメッセージは?

起業に必要な「きっかけ」をチャンスだと捉える前向きな思考が大切です。また起業後は七転八倒の日々が続くので、前向きな思考ができるかどうかもカギになります。90%の起業家は失敗に終わるので、成功を夢見ることよりも失敗の可能性をよく考えること。そして己を知り、「分相応」であることです。

- 座右の銘を教えてください。

「緊張の持続」「誠心誠意」という言葉が好きです。また起業までの雌伏の浪人時代には、三国志の「閑に居て動を観、無事に居て変に備える」という言葉をいつも心に留めていました。

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