“家計簿アプリ『Zaim』を1,000万DLに!”

株式会社Zaim
代表取締役社長
閑歳孝子

インタビュー: 2013/12/13

2002年、慶応義塾大学環境情報学部卒業。在学中にWEBコミュニティの企画・構築を手がける。卒業後、日経BP社に入社。記者・編集職を経た後、WEB系ベンチャーにてWEBディレクター職。2008年より株式会社ユーザーローカルにて製品企画・開発を担当。個人として開発したオンライン家計簿サービス『Zaim』をリリースし、約1年後に、株式会社Zaimを設立。代表取締役社長として現在に至る。

生年月日:
1980年

- 『Zaim』とは、どのようなアプリですか?

『Zaim』は、スマートフォン(iPhone、Android)とPCで、利用できる家計簿です。無料で使っていただけます。誰にとっても必要なもの、大切なものを考えた時、お金を扱うサービスを提供しようと、『Zaim』とは「財務」から命名しました。使い勝手の良い家計簿で、個人がお金の流れを把握し計画することができるインフラを提供することで、より豊かで幸せな暮らしを築いてほしいという思いでおります。2011年7月にiPhone(iOS)版アプリからスタートし、2013年3月にAndroid版をリリースました。当初は、本業の時間とは別に、プライベートで開発したものです。

- 起業の経緯を教えてください。

アプリをリリースしたところ、ユーザー数が増えて、入力件数も膨大になってきたことから、個人で責任を負える範囲を超えたと判断しました。2012年9月に、『Zaim』を社名に株式会社を設立。同年11月に4,000万円超の融資をいただき、同社内にオフィススペースも提供いただいて、サービス展開を図っています。

- プライベートで作ったアプリが起業を促すことになったのですね。

私自身が開発を始めたのは20代後半からでした。自分が作りたいと思うものもエンジニアの手助けなしには作れないのが残念で、ディレクターとしてWEB用の商品企画・開発に携わりながら、ちょっとした修正など、「エンジニアの手をわずらわせなくてもできることはします」という姿勢で、学びました。自分がイメージしたものを自分で作れるのは、ストレスレスですね。

- これまでの仕事が今に役立っていますか?

振り返ってみると、3年半ごとに転機がありました。課題が浮き彫りになってきて、そのことを突き詰めて考えたり、友人・知人に相談する中で、おのずと開けてきたように思います。新卒で出版社に入社した際には、社会人の世界をまったく知らなかったので、記者として、いろいろな人に出会えることはとても面白く、勉強になりました。社会を知るには、良い経験でした。
最初の転職は、「WEBサービスを提供する仕事がしたい」という学生時代からの思いに立ち戻ってでした。出版社でもWEBサービス部門を希望していましたが、記者にとして配属されたという経緯でした。大学ではITを学び、WEBサービスを作って楽しかったので、仕事にしたいという思いがありました。友人の立ち上げたベンチャーで、ディレクターとしてWEBサービスの設計等に関わり、BtoBのパッケージ商品や解析ツールの開発を行っておりました。2度目の転職は、ユーザーと直接関わる自社サービスを手がけたいという思いから、社長と私の2人で、立ち上げから参画しました。前職でも前々職でも、新規事業の立ち上げを行っておりました。そうした体験が『Zaim』にも、生きています。

- 起業1年目、『Zaim』に関わっているスタッフ数は?

現在は、業務委託の方々を含めて10名ほどです。自ら手伝いたいと申し出てくれた方、ご紹介いただいたエンジニア、私自身が一緒にやってほしいと願った方などで、社員のほかに、在宅エンジニア、学生でエンジニアを目指している人、ボランティアの方々まで、多様な人々が流動的に関わっています。現在は少人数で、2013年4月にレシート読み取り機能を追加、5月にはWEB版をリリース、ユーザーからの問い合わせに答えたり、やるべきこと、やっていきたいことはたくさんあります。今後の開発には社員を採用したいと考えています。

- どんな人材を求めていますか?

今の社会が求めていることですが、自分で考えられる人です。ただ今は小さな組織ですから、サービスの裏側からアウトプットまで、自分で考えることができる人を求めています。ユーザーからの要望は1日に数十件の単位で送られてきます。こうした情報から、エンジニアが自身の発想で優先度を見極めることも必要です。エンジニアには仕様書がなくても「何がユーザーのためになるのか、何が便利だろう、どんな状態がユーザーにとって心地よいか」を自分で考えることができる人であってほしいと思います。
アプリ開発では、使い勝手の心地よさが極めて重要で、それは言葉で表現しにくいものです。そこに、エンジニアのセンスと経験が求められます。社の運営方針として、エンジニアの開発自由度は高く設定しています。自身の経験を通してセンスを磨くことで、よりよいサービスとは何かが判断でき、形にしていける存在に育つことが大切と考えるからです。

- 今後はどのような展開をお考えですか?

『Zaim』のユーザー数を増やすために、『Zaim』の存在を知っていただくことが第一。また、それとは別に継続的に使っていただくことが課題で、そのためにはきめ細かく地道にサービスを向上することが大切だと思っています。また、単純に記録するだけの家計簿ではなく、『Zaim』を活用することでユーザーの方々の暮らしがより豊かになるようなソリューションの提供をイメージしています。『Zaim』のユーザーは、当初、男女比が6:4でしたが、スマートフォンが普及するにつれて、直近では1:2くらいになる時もあります。20代・30代で、結婚した、子どもが生まれたという方が使い始める傾向にあるようです。ユーザーからは「シンプルで使いやすい」「家計簿には挫折したこともあるけれど、続けられそう」という声が多く聞かれます。先日は80代の女性からの問い合わせもありました。大半のユーザーは、スマホにもPC(WEB)にも精通していないので、そうした方々にとって使い勝手のよいこと、人のにおいがするようなサービスでありたいと思っています。目標は利用者数(DL)1000万です。

- 座右の銘は?

「わが生涯に一片の悔いなし」です。学生時代に、初めて『北斗の拳』で読んで以来、そう答えることにしています(笑)。過去の転職も、『Zaim』の起業も、決断は多角的な視野で見て、最良と思えることを選んできました。