“インターネット広告のボーダーをカジュアルに飛び越える”

株式会社マイクロアド
代表取締役社長
渡辺健太郎

インタビュー: 2014/02/25

1999年株式会社サイバーエージェントに入社。同社にて大阪支社を立ち上げるとともに支社長に就任、その後「Ameba」開始に伴い事業責任者として立ち上げを担当する。株式会社サイバーエージェント取締役として活躍の後、2007年に株式会社マイクロアドを設立。インターネット広告の分野において、アドプラットフォーム事業を展開している。

生年月日:
1974年
出身:
宮城県
出身校:
東邦大学

- 生い立ちについてきかせてください。

小学校3年生くらいの時に、パソコンがどうしても欲しくて父にプレゼンをしました。当時はマイクロコンピューター、マイコンと呼ばれていて、決して安いものではなく、父も普段あまり物を買ってくれるタイプではなかったのですが、その時はすぐに買ってくれましたね。とても嬉しくて、毎日のようにゲームをしていたのを覚えています。実家が自営業だったこともあり、大学生になって就職活動の時期になっても、社会人というものが何をしているのかがよく分かりませんでした。「みんなスーツを着て電車に乗って一体何をしているんだろう」って思っていたんです。当然自分がサラリーマンになるイメージも湧かず、かといって当時学生の自分に他にどんな選択肢があるのかも分からなかった。だからとりあえず色々な会社を見てみよう、と思って就職活動を始めました。

- 就職活動をしていかがでしたか?

実感したのが「自分が入りたい会社がない」ということでした。そこで、自分の修行の場としてどこからスタートするか、という考え方に切り替えたんです。修行期間を最短で終わらせるためにまず営業をやろう、と思って就職しました。その会社には2年弱在籍しましたが、それなりに自信をつけることができたと判断して退社。ちょうどその頃サイバーエージェントから声をかけてもらい、私自身もこれから飛躍できるのはインターネット業界以外ないと思っていたので、参加することにしました。当時は自分に自信満々だったので「僕が参加したらさらに成功確度が上がるだろう」みたいな気持ちも正直ありましたね(笑)。

- どのような経緯で起業に至ったのですか?

サイバーエージェントの創業が1998年、私が加わったのが1999年のことです。大阪支社をはじめ、新規事業やメディア、コンテンツなど、様々な立ち上げ事業を行いました。自分ではそれなりにやってきたと思っていたのですが、同じ1998年創業のGoogleを考えた時に、「今まで自分は何をやってきたんだろう」と。経験は豊富に積んだものの、突出したビジネスやサービスを生み出すことはできていないと感じました。その時に「2~3年で潰れてしまうようなビジネスは嫌だ」と痛切に思ったんです。流行り廃りの激しいネットの世界ですが、その中でも20年30年とコミットできるような事業を展開したいと考え、起業を決意しました。

- 広告プラットフォームなどのビジネスモデルは、起業当時からの構想ですか?

具体的なビジョンはまだありませんでしたが、テクノロジーをベースに、言語などの壁を超えて使われるサービスを、という構想はありました。その上で高いクオリティを追求しなければ、長期間コミットできる事業にはならない、と考えていました。

- 海外展開も積極的にされていますが、今後の展望は?

そもそもインターネットに国境はありませんし、海外展開も私にとっては何も気負うことのない、普通のことです。私は、ボーダーをもっとカジュアルに超えていきたいと思っています。現在当社では、デジタルサイネージなどネット広告以外の領域にも事業を拡張していますが、それも新しい領域とは全く考えていません。同時に、今あるものに固執することもありません。鼻歌まじりでカジュアルに、そんな姿勢でボーダーを飛び越えていきたい、と思っています。今の社会においては、海外進出をはじめ、何かにチャレンジすることを特別視するような風潮があると思います。「チャレンジすることは素晴らしいことだ」というのは、裏を返せば、それが特殊なことだという暗黙の了解があるからですよね。チャレンジが特別なことだと思っている限り、いくら頑張ってもきっとうまくいかないのではないでしょうか。

- 会社の中で大切にしている文化はありますか?

一言で言うと多様性。私はよく「統制のとれたサファリパーク」と言っています。色々なタイプの人がいて、それぞれが同じ目的を目指して進んでいく、というのが理想。みんなが一律というのは気持ち悪いな、と思います。

- 起業を志す人へのメッセージをお願いします。

チャレンジするリスクというのは、実際はそれほどありません。周りの人、たとえば会社の上司などが色々なことを言うかもしれませんが、他人の意見はあまり気にしなくていいと思いますよ(笑)。でも、だからと言って「自分の信じる道を進む」などと頑なになる必要もないと思います。成功というのは、単純に確率×試行回数です。そして、確率を上げるのに必要なのは経験値です。何かにチャレンジする精神的なハードルをいかに低くするかが、成功確率を上げる決め手になると思います。現在会社勤めをしている人は、色々なストレスを感じることも多いでしょう。でもそこで、ただ耐えるのではなく、どうすれば変えられるかを考えた方がいい。例えば上司とソリが合わなかった時に、「嫌だけど我慢しよう」ではなく、状況を客観的に見て、相手を分析したり別のアプローチを考えたりすることが大切だと思います。自分の視点を変えるテクニックを身につけておくと、様々な価値観に気付くことができると思いますよ。

- 失敗談を教えてください。

失敗経験はもちろんたくさんあります。でも、失敗した時というのは、もう結果が出ている状態。失敗や成功は、結果が出た瞬間に、自分の中では客観的な存在、いわばアーカイブ化されるんです。だから、「この失敗を糧に」「失敗しても気持ちを切り替えて」というような思いは生まれないですね。それよりも、不利な状況においてどれだけ粘ることができるか、という時にマインドのリセットが必要なんだと思います。腹を括って向き合う為のモードチェンジですね。

- 座右の銘は?

ここ3ヶ月ほどは、高村光太郎の『道程』にある「僕の前に道はない 僕の後ろに道はできる」という言葉が心に残っています。でも、3ヶ月後は違うかもしれない。言葉そのものに意味があるのではなく、その時自分がどう感じるかが大切だと思うので、「座右の銘」として常に言葉をとどめることはありませんし、したくないと思っています。

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