“世界のHow toを集め、できることをふやす”

株式会社nanapi
代表取締役
古川健介

インタビュー: 2014/03/14

1981年6月1日生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業。浪人時代に中高生のためのコミュニティサイト「ミルクカフェ」を立ち上げ、月間1,000万PVを獲得。大学在学中に㈱メディアクリップを立ち上げ、レンタル掲示板「したらばJBBS」などを運営。㈱ライブドアに「したらばJBBS」を譲渡後、同社にてCGM事業の立ち上げに携わる。2006年㈱リクルートに入社し、新規事業立ち上げを担当。2009年に同社を退職、㈱ロケットを設立しnanapiをスタートさせた。

生年月日:
1981年
出身:
東京都
出身校:
早稲田大学

- 高校生時代のインターネットとの出会いが全てのはじまりだったとか。

高校1年と時に初めてインターネットに触れて、世界中の情報が取得でき自分でも発信できるということに衝撃的を受けました。インターネットを見る前の自分が何をやっていたか、今もって思い出せないくらいのインパクトです。テレビや雑誌にはない情報がそこにあって、のめり込みましたね。当時バンド活動をしていた友だちの曲をダウンロードできるページを作成。高校生が書いたオリジナル曲なんて流通させる術がなかった時代に、ネットを通じて地方の大人がそれを聞いてレスを返してくれた。狭いコミュニティで生きている高校生にとって、離れた地域に住む、しかも大人との情報のやり取りは楽しかったですね。

- 起業のきっかけになったのは何でしょうか?

浪人時代、大学受験の情報を探してもあまり質の良い情報が見つからなかったことから、自分でつくろうと立ち上げたのが「ミルクカフェ」という中高生向けのコミュニティサイトでした。当時はネット黎明期で敷居も低かったので、気負わずサイト運営を始められました。これが大規模なウェブサービスをはじめたきっかけです。このミルクカフェが月1,000万PVにまで大きく成長したあとに、知人から「会社をやるから社長をやらないか」と声がかかりました。世にいう社長っぽくない人間が社長をやること自体が面白いんじゃないかという理由からでした。それでメディアクリップという会社の社長になりました。その後、普通に働く経験があっても良いかとリクルートに入社して、新規事業サービスを立ち上げる仕事をしていました。リクルートは2年で100億売り上げて30億利益を出すのを目指す、といったような会社だったんですが、その規模の売り上げを考えるとネット事業とは相性が悪く、うまくいきませんでした。。そもそも入社時に3年いたら辞めようと思っていたので、当時楽天にいた弊社のCTOに「辞めようぜ」と誘ったら「いいよ」と快諾してくれたこともあり、退社しました。そんな時、現Yahoo!執行役員のエンジェル投資家・小澤隆生さんから“How toサイト”を始めないかというお話があり、nanapiが立ち上がりました。ミルクカフェの運営を通して、それまで友人に聞き回らなければ集められなかったような情報が大量に集まり、人の役に立って行く様を見て、適切に情報が流通すると世の中がフェアになることを実感。「インターネット上にもっと多くの情報を流通させたい」という思いもあり、一緒にやらせていただくことになりました。

- 会社のなかで大切にしている文化はどんなことですか?

「できることをふやす」ということをビジョンにしていますが、ユーザーだけでなく、自分たちのできることをふやすための努力をする、ということです。変化が激しい時代なので、エンジニアも編集者も使えるスキルは数年で入れ替わります。「経験がない」「自分のスキルが生かせない」ではなく、新しい知識を自ら学びスタッフが「できることをふやす」ことも大事。もちろん会社もその支援をしたいと考えています。

- 今後の事業の展開は?

昨年(2013年)秋に「スマホとグローバルが来る!」と業界でおそらく一番最後に気づきました。いろいろな人に、スマホのサービス設計についてヒアリングしたのですが、自分たちが思ってた以上にPCのルールが全く通用しなそうだったのですね。スマホを電話機能のある小さいPCと考えるのが勘違いだと気付かされました。ゼロから勉強し直しています。。社内でも「それPC脳だよ」とお互い注意する言葉が飛び交って、頭をスマホに切り替えるようにしています。先日Google Glassも使ってみたんですが、あのような形になるともう文字を読むのではないのかなあ、と考えたりもしています。Vineというアプリがありますが、あれは6.5秒の動画ですが、そのような短い動画で情報を提供するとか、情報のやりとりが音声に変わっていくとか。今は言語に依存したnanapiですが、いずれは「非言語」をやってみたいと思っています。情報量でいうと言語は非常に低いレベルで、文字で「こんにちは」と打つより、会って笑って「こんにちは」と言った方がずっと多くが伝わる。メールを送るのも、ムービーを送るのも今やほとんど同じですから、写真などの非言語のコミュニケーションがもっと増えて、多言語でもストレスなく交流ができるようになるんじゃないかと。チームラボの猪子さんがコラムに書いていたのですが、怒りとか猜疑心って言葉にしないとすぐに忘れちゃうらしいです。ボクシングの世界マッチみたいな時、選手同士がわざと言葉で挑発し合うのは、怒りを言語化してその気持ちをロジックで持たないと殴り合いなんてできないってことらしいです。言語化は戦争や争いを引き起こすけど、非言語化は愛とか楽しさ、平和につながる…ですから非言語は是非やってみたいです。

- 起業を志す人へのメッセージをお願いします。

「手段を目的化しよう」とはよく話しています。起業をする時に「俺は教育を変える!」みたいな目的ベースにすると、失敗した時にそのビジョンを変更しづらくなっちゃう。それより、「やってて楽しい」とか「やってみたい」で起業してみていいんじゃないかと。アメリカって、目的のために手段を択ばない「ハッカー文化」だと思うんです。でも日本はソニーのウォークマンのように、ただひたすら小型化を目指していたら持ち運べるものができた!とか(本当かどうかは知りませんが)、茶道のようにあえてプロセスを複雑にして意味を持たせるとか、「手段」の国だと思う。せっかくオタク文化の日本なので、「これが楽しい」を追求して突き詰めた先に何かが生まれる、というイメージで良いと思います。アメリカとの差別化も図れますし。

- 失敗談を教えてください。

大学時代にやっていた掲示板サイトは投稿に関するトラブルが多くて、警察沙汰になったものだけで100件以上はあります。訴訟も3件経験しましたし、右翼の方から電話がかかってきたこともあります。。世間知らずだったことや、ネット社会が成熟していなかったことも原因でした。そのお蔭で、どこがやったらいけないラインかの線引きは覚えました。

- 座右の銘はありますか?

「棚からぼたもち」です。僕は努力して良い結果が出たことがないんですよ。努力している意識がなくて、「好きだから続けて来た」というものが一番成果が出ています。強みがあって楽しいと思えるものに時間をかける方が、もし失敗しても「楽しかったからいいか」と思える。成功も失敗も時の運ですから、だったら好きなことをやりたいですね。

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