“画像マーケット『PIXTA』を国内最大手から海外へ”

ピクスタ株式会社
代表取締役
古俣大介

インタビュー: 2013/12/13

1976年、埼玉県生まれ。2000年、多摩大学経営情報学部卒業。在学中からコーヒー豆のEC販売、女性向け古着販売などに携わる。大学卒業後、株式会社ガイアックスに入社し、新規事業の立ち上げに参画。2002年、EC事業を展開する会社を設立し、年商1億円に。2005年8月、株式会社オンボード(現・ピクスタ株式会社)設立、代表取締役として現在に至る。

生年月日:
1976年
出身:
埼玉県
出身校:
多摩大学

- 貴社の事業PIXTAについて教えてください。

『PIXTA』というWEBサイトを運営しています。アマチュアカメラマンを中心に写真素材を投稿していただき、低価格で販売するマーケットプレイスとして2006年5月にスタートしました。その後、写真だけでなく、イラスト、動画も扱うようになり、現在、投稿者は12万人ほど、購入利用者は13万アカウント、昨年度のダウンロード数は31万点(DL)で、国内最大手に成長しています。投稿は誰にでもでき、購入いただいているのは、制作会社、デザイナー、出版社、TV局、IT企業などです。

- 立ち上げ当初から順調に利用者数を増やしてきたのでしょうか。

初日に50人のカメラマンが登録、2日目に500点の素材を集めてスタートしましたが、軌道にのるまでには3年ほどかかりました。最初はひたすらコンテンツのよいものを集めることに専念しました。わずかな売り上げしかない中でベンチャーキャピタルからの資金調達を行い、高品質・低価格のサービス提供に徹していました。

- PIXTAを立ち上げるまでの経緯を教えてください。

事業の立ち上げとしては3回目、会社設立は2社目になります。僕は1976年生まれなんですが、大学に入ったと同時にインターネットが普及し始めたのを目の当たりにして、「これで世の中が変わる、これまでの障壁がどんどん取り払われてフラットになり、個人が活躍できる社会になる」と衝撃を受けた世代です。父は全国のスーパー、百貨店等で期間限定の催事を行う会社を経営、母は母でリサイクルショップを経営していたこともあり、起業は自然のなりゆきでした。学生時代にECサイトの開設、古着の販売などを始めていたこともあり、ガイアックスの社長と知り合いました。ネットバブルの先端を走っていた会社で、非常に面白そうだったので、「1カ月だけ手伝わせてください」と入ったのが、そのまま就職することに。2月入社で、年末ぐらいまでの期間でしたが、卒業式には営業の途中にスーツで立ち寄ったという記憶があります。

独立したのは24歳でした。ガイアックスで働きながらも「何で起業しようか」と考えていたのですが、僕自身が写真やイラストが好きだったことや、当時、オンデマンド印刷や大判プリント印刷が登場して、1枚から商業用プリントができるようになったことに着目して、飲食店向けの販促ツールの請け負いを始めました。デザインも自分で手がけ、素材を使う側の体験をしていました。この事業をインターネット上でマーケットプレイスとして展開しようと考えていたのですが、1年で断念。次に個人ベースで別のECサイトを運営して、3年で年商1億円ぐらいまで育てました。しかし、このままでは、大学時代に衝撃を受けた「インターネットが社会を変える」という価値を生み出すことにはならない、「自分にしかできない事業は何か」を考えていて、今のPIXTAの原型に思い至ったという経緯です。ちょうど、デジタルの一眼レフカメラがアマチュアカメラマンにも普及し、ネット投稿するようになっていました。作品のレベルはすばらしいものがありました。

- PIXTAを軌道にのせるまでの3年とは?

サイトをオープンして素材集めに奔走してみると、何百人、何千人というカメラマンから投稿が上がってくるようになりました。いい作品が上がってきます。さらに半年後にはイラストも扱うようになり、やはり、いい作品が上がってくるのを見て、これは行けると感じていました。ただ、資金繰りは大変でしたね。今はクラウドソーシングが当たり前になりましたが、PIXTAは写真等のクラウドソーシングと言えます。その概念をすっと理解してくれる人もいれば、理解していただけない人もいることが壁でした。当時、ベンチャーキャピタルに当たって、10人中8~9人には可能性を感じていただけませんでした。

- PIXTAの会社文化は?

企業理念である「インターネットでフラットな世界をつくる」、が社内文化にも根付いています。年齢、経験、社歴による上下関係はほとんどなく、社員みんなでPIXTAを育てることを共有しているので、誰でも意見が言えて、困ったことがあれば相談でき、協力も得やすい環境で、チームワークよく運営されています。トップダウンとは真逆で、現場のメンバーが発想して、推測したことを計測して確立していくPDCAの流れができていますね。僕自身、学生時代にコミュニティシステムの提案・運営の仕事をしました。この時の上司が2歳上だったこともあり、経験のない学生にすべて任せてもらったことが糧になっているので、スタッフにも主体的に関わる経験を積んでほしいと思っています。スタッフは、アルバイトを含めて70名ほどのうち20名がエンジニア、半数が運営・デザインに関わり、ほかにコンテンツを担当するスタッフがいます。コンテンツ部門では、投稿される素材の審査だけでなく、クリエイターのサポートも行っています。特に需要が高い人物のイメージ写真を撮れるクリエイターには、専属制度や、弊社が提携するモデル事務所やヘアメイクを手配して撮影できるキャスティングシステムを導入し、人物コンテンツの強化に努めています。

- PIXTAの今後の展開は?

現在、13万人にご利用いただいていますが、世の中はますますデジタル化が進んでいますので、デジタル画像の利用もまだまだ伸びるとみています。日本国内だけでも現状の何倍も期待できますが、今年から海外展開もスタートしました。特にアジア圏での需要があるとみて、7月に英語版をリリースし、11月、シンガポールに現地法人を設立しました。現在、当社の役員含め2名が現地で精力的に活動しています。アジアのコンテンツを揃えることがカギですが、プラットフォームは用意できていますし、徐々に取引も生まれています。また、PIXTAを活用しているカメラマンの中には、年間売上1,000万円を超える人も出ています。本業とは別に、アマチュアとして月間売上60万円超をコンスタントに稼ぎ出している人もいます。今後も、投稿者-利用者-PIXTAでwin-win-winの関係を重視していきます。

- 座右の銘は?

「起こったことはすべて必然」です。
良し悪しに関わらず、すべての出来事には意味があると思っています。いろいろな人に出会うこともしかり、妻とのケンカもしかり(笑)。そこから、学び取ることが大切なのだと思います。