“現代版御用聞きサービスが支えるサーバー保守”

株式会社ディレクターズ
代表取締役
加藤慶

インタビュー: 2014/03/28

1972年12月30日生まれ。静岡県出身。武蔵大学経済学部卒業。大学卒業後に静岡県内の会計コンサルティング会社に入社。1999年、株式会社オン・ザ・エッヂ(現:ライブドア)に転職し、データセンターなどの責任者を務める。2007年、株式会社ディレクターズ設立、代表取締役に就任。サーバー事業を中心に、上場企業紹介のサイト「クモノス」など新しいサービスにも着手している。

生年月日:
1972年
出身:
静岡県
出身校:
武蔵大学

- 静岡から新幹線通勤をされているとか?

静岡県長泉町出身で、現在もそこから通っています。ドアtoドアで1時間半程度ですし、新幹線だと座って仕事ができるので効率は良いと思います。なにより静岡は良い所なので、休日を過ごすには最適。都心に家を借りるより経済的だと思います。採用の時も静岡県出身の文字を見つけると、思わず採用してしまったりして…静岡県出身者が社内にどんどん増えています。

- 小さな頃はどんなお子さんでしたか?

面倒なことを押し付けられてしまう、むしろ進んで受けちゃうタイプでしたね。人よりも責任感が強かったのかもしれません。でも今も昔も、「なんで俺だけ?」「あいつだけズルい」とか全然感じない。例えば自分だけ面倒な仕事をたくさん振られても、他の人を「いいな」と恨むような感情が全く湧かないので、その部分が非常に鈍くできているようです。逆に人と話していると、他人を羨んだり「損した」と憤っている人が多くてビックリします。

- あまり怒らないタイプの社長さんなのでしょうか?

社長業ってなにかと仕事が多いんですが、それを淡々とこなす感じです。怒ることもイライラすることも少ないので、社員は比較的のびのび、かなり自由に仕事ができると思います。時々「自由を曲解している」と感じることもありますが、人から注意されても自分で痛い目にあわないと分かりませんから、基本は放っておきますね。

- 起業のきっかけや思いなどを教えてください。

ディレクターズ自体は、HP制作などのディレクションをするということで立ち上がった会社で、僕は誘われてサラリーマン社長になるつもりで転職しました。それまではライブドアでデータセンターの仕事をしていたので、デザインとか表向きの仕事はどう仕事を取ってくるかが分からない。とりあえず仕事を回すために自分の得意分野であるサーバー業務も始めることになりました。当初は両輪でやっていましたが、ウェブでは業績があがらず、サーバーホスティング事業にシフトしていきました。その時点で立ち上げた方から株式を買い取り、正真正銘の社長に就任したという流れです。なので、きっかけは「誘われたから」、起業の思いも「何とか食える会社にしなくては」というものです…(笑)。

- 会社のなかでスタッフが共有している考え方などはありますか?

僕たちはサーバーを提供することが仕事ですが、内容は非常に「保険屋」に近い。つまり「保守・管理」のサービスで、何か起きた時の対応の方がメインです。お客様からすればサーバーが順調に動いていさえすれば、毎月の保守費用を払うだけの会社ですから、簡単に乗り換えられてしまうんです。逆に新規契約獲得で言えば、サーバー乗り換えを面倒に感じる企業さんも多いので、1~2年追いかけ続けても契約が取れないことも多い。なので、人材探しやコンサルまで「ここまでやってくれるの?」と感じてもらえる、“現代版御用聞き”のようなサービスを心がけています。サーバーを売る会社は多くても、「サービスを提供している」という意識の会社は少ないので、ここが弊社の特徴です。お中元・お歳暮は、最近断られることも多いながらも全員手持ちで行きますし、バレンタインなども忘れません。IT企業ですが冷めたお付き合いとは無縁ですね。お客様に対しては“ギブ・ギブ・ギブ・ギブ&テイク”くらいのつもりで仕事をして、そのギブが積み重なったところに、やっとテイクが一つくらい返ってくるものだと考えています。ただ、御用聞きサービス、「ギブ」の部分が目に見えて売り上げにつながることは少ないので、若い社員にはジレンマを感じる人も多いようです。

- 今後の展開はどのようにお考えでしょうか?

弊社の特徴でもある「ギブの連打」を、今後はもっと強くしていこうかと思っています。というのは、弊社のようなインフラ整備の会社は一般で言う土木建築の領域なので、建物は建てるけど中をどう使うかというアイデアは乏しい。つまり新規ビジネスの立ち上げは敷居が高いんです。なので「世の中に役立つビジネス」を立ち上げようとしている人たちをサポートしようと考えています。IT企業ですと、人件費に三分の一、サーバーに三分の一と、サーバーが占めるコスト割合が大きい。VCや様々なファンドでお金は貸してくれますが、技術的な支援やサーバー支援はしていないので、弊社はその部分を支援しようと考えています。

- 起業を志す人へのメッセージ

正直に言うと、僕も未だに「勤め人の方がいいなぁ」と思っているくらいなので、あまりおススメはしませんが…。最近、学生に接する機会が多くて、思うのは“職業”や“業種”に関する知識が薄いですね。自分の得意分野を生かす仕事のことさえ知らなくて驚きます。学校で学ぶ機会がないんでしょうが、社会の仕組み、仕事の種類や内容など、もう少し勉強をしても良いと思います。特に起業をしたいと思っているのであれば、尚更です。ちなみにサーバーエンジニアという仕事に関して言えば、技術進度はITの業界のなかでは遅い方なので、基礎をしっかり学べば10年後にも使える技術が多い。女性のように、結婚・出産というライフイベントがある人には、復帰しやすいのでおススメです。

- スタッフは様々な部署を経験するシステムだとか?

一人のスタッフが1から10までできるように教育したいと思っているので、ジョブチェンジは多いですね。仕事を取ってくるところから、納品して請求書をあげるまで全員ができれば、育休などでスタッフが抜けても会社全体でサポートできますから。もちろん技術力は一番秀でているべきなので、その部分はしっかり教育します。またIT業界は「プログラマー」「デザイナー」といった特化型のスペシャリスト育成が多いので、次のパスをつくりにくいという弱点があります。何でもできるジェネラリストを育成しておけば、新しい事業を展開しても難なくシフトできるはず。スペシャリストが揃っているのが最も効率的ではありますが、ジェネラリストが多い方が会社の生命力は強くなる。会社を長く続けていくには、効率よりも強い方が有利ですから。

- 座右の銘を教えてください。

性善説を信じているので「世の中、悪い人はいない」と本気で思っています。悪いことをしている人は何か理由がある。この考え方のお陰で人を疑わなくて済みますし、人の悪口も少なくなります。これは非常に楽。お客様へ“ギブ・ギブ・ギブ”そしてやっと“テイク”だと思っていられるのも、ここに根っこがあるように思いますね。

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