“「鮮魚×IT」で3兆円市場の鮮魚流通を変革”

八面六臂株式会社
代表取締役
松田雅也

インタビュー: 2013/12/13

1980年、大阪生まれ。2004年、京都大学法学部卒業。UFJ銀行(同年、合併により三菱東京UFJ銀行)に入社、京都支店に1年半勤務の後、東京のベンチャーキャピタルに転職。2007年5月、電力供給代理店として起業するも振るわず、総合物流ホールディングスの新規事業立ち上げに参画。2010年10月、自社にて「鮮魚×IT」をテーマに第2創業。

生年月日:
1980年
出身:
大阪府
出身校:
京都大学

- 貴社の事業内容についてお聞かせください。

単純に言えば、鮮魚流通をITを駆使して創り変えています。Amazon.comの鮮魚版というイメージでしょうか。全国津々浦々の水産物を、ITと各種物流を使って、寿司屋、居酒屋、割烹など和洋中を問わず飲食店全般に届けています。今のところ、個人は対象にしていません。鮮魚流通に特化したアプリケーションを開発してiPadに格納、飲食店にiPadを無償貸与し、回線のないところには回線ごと用意して使っていただきます。95%以上が電話、faxで成り立ってきた業界なので、ある意味、無理やりIT化したような(笑)。実際には、iPhone等は結構使われていて、リテラシーはありました。「使い勝手がいい」「簡単なら使うよ」という反応でした。産地の鮮魚を画像で提案するなど、電話やfaxではできなかったことができるようになり、やりとりも格段に早くなって、現在、数百店舗にご利用いただいています。大量の情報をITで処理することで、鮮魚流通の世界に、ある種のプラットフォームを構築中という段階です。

- 鮮魚流通に着目されたのは、なぜですか?

従来の鮮魚流通は、「漁師がいて産地市場があり、そこから築地市場へ移され、納品業者を介して店舗に届く」という多重構造になっています。このすべてを否定はしませんが、ここに関わる方々は高齢化し、零細・中小事業者ばかりで先行きが危うい状況です。複数の人手を渡ることで商品の鮮度が落ち、無駄な費用もかかっているのが現状です。一方で、全体では3兆円規模の巨大市場ですので、流通過程の無駄を圧縮すればするほど利益もあがると考えています。

事業ポジションとしては、次の2つのポイントがあります。1つは、産地についてです。産直はすでにいろいろな形で行われていますが、実は利用者のニーズに応えきれていません。飲食店のようなプロの利用者は、一定のサイズや量、安定供給を求めています。弊社は各流通段階のさまざまなプレイヤーと連携することで、利用者のニーズに100%応えています。もう1つが飲食店サイドです。飲食店は、「鮮魚×IT」によるサプライチェーンを構築する際のパートナーと位置づけています。弊社とともに飲食店の売り上げも伸ばしていただく、そのためには、例えば、飲食店のメニュー開発や販促ツールの制作もお手伝いしています。もちろん受発注は24時間体制です。

- 今後の目標はどう設定されていますか?

鮮魚流通は特殊な業界で大手資本が入りにくい状況にある中、現在はシェア拡大に奔走しています。「2016年3月決算でIPO(新興市場に上場)するぞ!」と、まずは3兆円市場における0.1%を獲得し、年商30億円を目指しています。その先は、2020年までに10%を獲得、年商3000億円が目標です。
日本の食文化は、いまや日本人だけのものではなくなっていますので、シンガポールや香港など海外にも流通ルートを広げていきます。クール・ジャパンですね。
そのために、さまざまな方々に協力をいただいています。

- 「鮮魚×IT」で起業するに至った経緯を教えてください。

大学時代は、中央省庁の官僚になろうと思っていました。現実にはUFJ銀行に就職し、京都支店で1年半働いてみて、敷かれたレールが見えると「何か違うな」という思いが湧いてきました。起業を考えるようになったのは、東京のベンチャーキャピタルに転職したことがきっかけです。エリート街道を離れるのは、正直、メチャメチャ怖かったですが、職住近接型で寝る間も惜しんで働き、半年で数字を出して取締役パートナーにもなりました。そして、2007年5月に起業。最初の起業は、思うようにはいきませんでした。しかし、その後、業務委託から大手資本の子会社の責任者になり、物流をセットにITを提案する複数のプロジェクトを立ち上げたことが「鮮魚×IT」につながっています。2010年7月に結婚、8月に30歳の誕生日を迎えたことも、「もう一度、自分で」という決断を後押ししましたね。2010年10月に、事実上休眠させていた自社の社名を「八面六臂株式会社」に商号変更して、再スタートを切りました。

- 現在のスタッフ数は?

去年までは私のほかに社内は2名で、外注も使ってシステム開発その他を進めてきました。採用を始めたのは、今年1月から。今月で20名弱、年末までに30名体制にします。朝は5時出社、全員で築地近くにある物流センターへ移動して、鮮魚の買い付け、梱包などの作業をします。魚の目利きは現場で実物に触れて学んでもらいます。11時頃にはオフィスに戻り、その後、午後にはスーツに着替えて、パートナーの飲食店回りと、パワーのいる仕事ですから、若い人材を求めています。夜は7時頃には「帰るように」と言っています。ただ、やるべき仕事は山積みです。そこは、やる気のある人にやってもらい、キャリアを積んでもらいたいと思っています。向き不向きもありますので、結果がついてくれば評価するという姿勢です。

- 座右の銘は?

「明日でも後悔しないように今日を生きる」です。
「鮮魚×IT」はスケール拡大していく事業、目標に向かってまい進しています。

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