“自動家計簿とクラウド会計でお金の流れを変える”

株式会社マネーフォワード
代表取締役社長CEO
辻庸介

インタビュー: 2014/05/16

京都大学農学部を卒業後、ソニー株式会社に入社。本社経理部にてAIBO(アイボ)などの部門経理を担当した後、2004年マネックス証券に出向(後に転籍)。2009年ペンシルバニア大学ウォートン校に留学。帰国後はCOO補佐、マーケティング部長などを経て、株式会社マネーフォワードを創業。2014年1月ケネディ米大使より「将来を担う起業家」として米国大使館賞受賞。同年2月ジャパンベンチャーアワード2014にて「起業を目指す者の模範」としてJVA審査委員長賞受賞。

生年月日:
1976年
出身:
大阪府
出身校:
京都大学

- 生い立ちについてお聞かせください

生まれは大阪で、祖父が会社を経営していました。とても厳しい人でしたが、新興国に進出して雇用が創出できたと嬉しそうに語っていたのを覚えています。私自身がビジネスに興味を持つようになったのは大学生のときです。先輩に誘われて進学塾の立ち上げに携わり、事業の楽しさというものを実感しました。大学では農学部でしたし、元々はバイオテクノロジーの研究者になるつもりだったのですが、それがきっかけでビジネスの道に進もうと考えるようになりました。

- 大学卒業後の進路は?

大学を卒業してソニーに就職したのは、グローバルに活動できる場に身を置きたいと考えたからです。当時はネットの可能性を非常に感じていて、自分でもネットビジネスを手掛けたいと思っていたのですが、配属されたのは経理部。精力的に仕事に取り組んでいたものの、やはり「ビジネスをやりたい」というもどかしい思いがありました。そんなとき、マネックス証券のCEO室への出向が社内で募集されていて、これだ!と思ったんです。CEOの松本さんの「金融の自由化、民主化」という言葉にも共感しましたし、こんなチャンスは他にないと思って応募しました。

- 起業のきっかけを教えてください

当時のマネックス証券は、社員が50人弱でベンチャー気質も強く、いろいろな経験をさせていただきました。その中で感じたのが日本人のお金に対する知識がまだまだ不十分だということです。ネット証券やオンライン銀行が登場して手数料も安くなり、世界中から商品や情報が手に入るようになりましたがそれを使いこなせている人が少ない。マネックス証券ではマーケティングの責任者も務めていたのですが、折角色々な商品やツールが揃っていたにも関わらず、知識がないばかりに損をしてしまっている方も多かったんです。でも日常生活の中ではお金のことを学ぶ機会もない。ちょうどその頃、クックパッドや食べログのようなユーザーサイドのサイトが出てきていて、お金に関してこういうサービスができたらいいなと考えるようになりました。個人のお金に対する不安要素を解決できる、ユーザーサイドに立った中立なサービスを作りたいと考え、マネーフォワードを設立しました。

- マネーフォワードのサービス内容について教えてください

現在は、大別して2つのサービスを展開しています。1つ目は個人向けの資産管理。アメリカではパーソナルファイナンスマネジメントツールといわれているもので、私たちは自動家計・資産管理ツールとよんでいます。このサービスの特長は、複数の口座情報を一括管理してお金の流れを家計簿として自動作成できること。さらに、家計や資産の分析、アドバイスなども受けられるようになっています。自分に最適なクレジットカードや定期預金を選ぶための比較や、ライフプランのシミュレーション、お金に関する疑問に専門家が答えたりもしているんですよ。2つ目が、法人・個人事業主向けのクラウド型の会計ソフトと請求書サービスです。自動で情報を取得、仕訳までしてくれるので面倒な確定申告や経理手続きが簡単になり、確定申告の手間や社内コストも大幅に軽減することができます。この2つを軸に、個人の資産から確定申告や法人の経理手続きまで、お金の不安や悩みを解消し、暮らしの改善や夢の実現につながるようなサービスを提供していきたいと考えています。

- 会社の中で大切にしている文化はありますか?

「世の中の役に立つサービスを作って、日本発のグローバルなベンチャーになる」というのが私たちのビジョン。それを皆が共有し、一人ひとりの持ち場で力を発揮しています。責任感も能力も高い人が集まっていて個人が自立しているので正直、私はあまり細かい点をマネージメントする必要はなく、能力のあるメンバーがいかにそれを発揮しやすい環境づくりをするかということに尽力しています。昔ながらのピラミッド型の組織ではなく、個人同士のつながりが組織を作っている、とてもラフで自由な社風だと思います。私も自分の得意なことをやっているだけで、あくまでも社長という1パーツでしかありません。社員に求めることは、能力とチームプレーとビジョンへの共感。この3つの柱を大切に、互いに刺激し高め合える環境を作りたいと思っています。

- 今後の展望をお聞かせください

テクノロジーの力でお金に関わる手間を省き、個人資産管理サービスとクラウド型会計サービスで国内ナンバーワンになること。その次の目標は海外ですね。今年中にでも、英語版マネーフォワードに取りかかりたいと思っています。

- 起業を志す方へのメッセージをお願いします

解決したい課題を持つことがとても大事だと思います。世の中のこういう問題を解決したい、という強い思いがあれば周りも応援してくれるもの。日本は起業に厳しい国だという声もありますが、必ずしもそうではないと思っています。ただし一方で、起業するということは甘いものではありません。それなりの能力や経験が必要ですし、そういう現実を見ることも必要だと思いますね。

- 失敗談はありますか?

設立間もない頃、一度作り上げたサービスを白紙に戻したことがあります。お金に関するSNSのようなサービスだったのですが、テストをしたら10人中10人が使わないという結果が出てしまって…。コストもかけて一生懸命作ったものだったので、あれは結構きつかったです。

- 座右の銘を教えてください

歴史上の偉人の言葉でないのですが、明石家さんまさんの「生きてるだけで丸儲け」という言葉が好きです。前向きでありながら謙虚で、すごくいい言葉だと思います。

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