“ 世界に「インパクト」を 人に夢と希望を”

株式会社ロックオン
代表取締役社長
岩田進

インタビュー: 2014/06/06

大学入学後、すぐに休学。バックパッカーとして世界を旅する。帰国後に事業を2回起こしたが、あえなく失敗。その経験も活かし、2001年ウェブ制作会社として株式会社ロックオンを設立。広告効果測定システム「ADEBiS(アドエビス)」、ECサイト構築ソフト「EC-CUBE(イーシーキューブ)」、国産リスティング広告運用プラットフォーム「THREe(スリー)」などで、国内シェアNo.1商品を誇る。21歳の時に考えた「Impact On The World」を企業理念に、多くの人に夢と希望を与える会社を目指す。

生年月日:
1977年
出身:
大阪府
出身校:
関西学院大学

- 学生時代はどのように過ごされましたか?

小学生の時は阪神タイガースの大ファンで、ベタにプロ野球選手になりたかったけれどダメダメでした(笑)中学でバスケットボール、高校ではラグビーと次々いろいろなことやってはみたものの、「自分は運動じゃない」と悟りました。次に「音楽ならイケるかも」とギターを弾いてみましたが指が痛くてやめ、「俺はドラムだ」とドラムセットを買ったら、バスドラムの音が大き過ぎて近所迷惑で挫折。一浪して入った大学も2週間で「オモロないなぁ」と休学しました。このスピード感、見切りの早さは昔からですね(笑)将来は「世界で活躍する人間になる」と決めていたのに、大学で身に付くスキルや経験がそこに繋がるとは思えませんでした。世界という頂上に辿り着くためにどのルートから登るか、その登山口の一つが大学だと思っていましたが、山頂には道が繋がっていないと早々に分かったという感じでしたね。世界レベルで活躍する人は、努力に努力を重ねるというよりも少しやってみただけでも片鱗が見えるものだというのが持論だったので、「この道は違う」と分かったらサクッと諦めるのが僕のやり方でした。

- そこでバックパックを背負って世界に飛び出されたんですね?

大学に休学届を出して3ヵ月間で100万円を貯めて、片道切符で海外に飛び立ちました。海外では、日本の学校を出て日本で就職するという狭い価値観では見えないものを見たいというのがあり、東南アジアやアメリカをグルグルと見て回りました。結果、得たものとして大きかったのは、日本は世界のメインストリームじゃないことを実感できたこと。ただ、旅自体はとても楽しかったんですが、ビザがなかったため仕事ができるわけじゃなく、周囲は不法滞在者や同じバックパッカーたちが集まって「今までどこ回った?」「じゃまたね」みたいな会話を毎日繰り返して、浅いなと。海外生活で学んだことはとても多かったのですが、これをこのまま続けていても「世界で活躍する人間」にはなれないと思いました。「真剣に仕事に取り組んで自分を高め、10年後にもう一度世界に飛び出す」という明確なゴールが決まったのは、出発から4ヵ月目。そのゴールを描いた後、すぐに帰国しました。

- そこから株式会社ロックオンの起業までのストーリーは?

とにかく仕事をしてみたくて、大学には戻らず飲食店で働き始めましたが、アルバイトやパートのおばちゃんたちにやる気がなくて本当にガッカリしました。こうなったら自分がオーナーになって店を生き返らせるしかない。やる気のない人には辞めてもらい、店の赤字分も全て買い取るという条件でオーナーに掛け合い、入社して2週間足らずでしたが20歳のときに飲食店のオーナーになりました。でもその奢りが裏目に出てわずか1年で閉店に。何でもできると思っていた自分が実は何もできなかった。謙虚になり、スタッフ皆で協力し合えるような環境をつくらなければ人はついてこない、これが21歳の悟りでした。次に仕事をする時は「覚悟を決めること」「技術を身につけること」が必要だと心底感じました。まぁ覚悟は自分でできることなので、技術を身に着けるために大学に復学。当時はインターネットのオープンソース系が伸びていた時期だったので、ネットワークエンジニアになろうと決め、ただのオタクにならないように金融も同時に勉強し始めました。エンジニアとしてある会社に就職しようとしましたが、ここでもほかの社員の技術力に圧倒され、「エンジニアという道では勝てない」と諦めました…もうトライ&エラーの連続です。次のステージとして、バックパッカーの経験を活かして旅に関する口コミを集めた旅行のコンテンツサービスを開始。ウェブサービスに必要なデザイン・サーバー管理・マーケティングなど、一人でできない業務を外注に頼っていましたがコスト高とスピード感のなさに参りました。業務を外注している限りウェブサービスは立ち行かない。しっかりした制作チームを作ることが先決だと思いました。そしてホームページ制作会社を立ち上げ、発注を受けながら自分のチーム作りをしたんです。これがロックオンという会社の始まり。「2年間で関西一の制作会社」という目標を個人的にはある程度クリアできたと思ったので、次に「世界で勝負する」ための自社製品の開発に乗り出しました。

- 国内シェアNo.1を誇る「ADEBiS」と「EC-CUBE」の誕生秘話とは?

インターネットの面白さは「双方向メディア」だということ。行って・返ってくることができる稀有なメディアにおいて、その交差部分のログデータを保有し、上手く扱う技術がある会社が伸びるだろうと考えました。色々聞いてみると、どの企業もアクセス解析はしているもののその結果を活かして改善するフェーズまではきていない、つまり使いこなせていなかったんです。それならばと使える解析ソフトを目指し、とっつきやすい「EBiS(エビス)」という日本語名とキャラクターもつけて売り出しました。ところが売れ始めた頃に、Googleアナリティクスという無料のアクセス解析ツールが提供され始めました。正面切って対決しても勝てない相手ですから、今度は広告に特化した広告効果測定システム「ADEBiS」を開発し、他社とも差別化ができたのでシェアNo1になることができたのだと思います。EC-CUBEというECサイトのためのオープンソースソフトウェアも提供し、こちらも国内シェアNo.1をいただいています。これはネットワークエンジニア時代に痛感していた、オープンソースの限界「自己責任」という部分をどうにかしたいと開発したものです。「自己責任=高リスク」だと企業は使わないので、いかに「自己責任」といわないオープンソースをつくるかを追求しました。「企業がきちんと運営していること」「開発エンジニアも紹介できること」「動作保障していること」「決済や物流なども標準搭載して開発しなくても使えること」これらをクリアすれば、もっと安心して使いやすい製品になるのではないかと考えたところに共感が得られたのだと思います。

- 社内で大切にしている考え方を教えてください。

弊社の “Impact On The World”という企業理念は、「世界で勝負できる人間になりたい」という僕個人の思いから派生し、チームとして「世の中に働きかけられる会社」を目指し、多くの人に夢と希望を与えるという目標になりました。また単にワールドワイドに活躍するというだけでなく、そのプロジェクト、そのミーティング、その商品、その時々の自分を取り巻く事象のなかで常にインパクトを与え続けなければならない。その小さな積み重ねこそが、世界へつながるという意味でもあります。

- ミステリーツアーばりの社員旅行、ものづくり空間「ロックオフ」など、社員全員がImpact On The Worldを実行されているという印象ですね。

社員が皆、「どうしたらインパクトを与えられるか」を真剣に徹底的に考えている結果だと思います。社員旅行もプロジェクトチームを毎年立ち上げ、社員全員にどれだけインパクトを与えられるかを考えて企画しています。ちなみに昨年は、旅行前日のゲーム優勝者に当日リムジンがお出迎え、行き先知らずに到着した先がサバイバルゲームのフィールドという設定でした。他の社員はバスで行ったんですが、道中「好きな食べ物」をアンケートで聞かれたので用意されているのかと思いきや、ゲーム中、弾に当たった時に「トロ!」とか「ソーキそば!」とか叫ぶだけ…。これは成功していたのかどうか微妙です(笑)ともかく社員一人一人が主役で、新しいアイデアを提案しやすい、実現しやすい環境は整えたい。全員が自信と責任を持って主体的に動く組織でありたい、というのは設立当初からの思いです。クリエイティブでないと企業の生き残りが難しい今、安心して色々提案できる環境がなければクリエイティビティを発揮するのは難しいですから。採用の際も「仲間として一生、一緒に仕事がしたいか」を考えながらフィーリングを重視してかなり慎重に選んでいます。現在60名強の社員も増やそうと思えば増やせますが、思いを共有するには丁度良い人数だと思っています。

- 今後の展開はどのようにお考えでしょうか?

「集客のインフラ」「コマースのインフラ」などの、なくてはならないインフラレベルの事業を展開していきたい。世の中に与えるインパクトをもっと広く深く、最大化しなければいけないので、環境や食やエネルギーなどの根幹にかかわる事業に取り組もうとも考えています。どうしてシリコンバレー発の企業だけが世界に通用するのかを僕なりに分析すると、まず「多国籍であること」。商品開発の時点から世界中の人が関わることで、日本人が日本人のためにつくる商品のようなズレが少ない。弊社では、ベトナムの子会社をスタートさせたことを皮切りに、シンガポールの空港のような様々な人種が集まる場をイメージして今後の会社づくりをしていこうと考えています。もう一つは純粋に「予算」。シリコンバレーではシリーズA→B→C→Dと、それぞれ5億→15億→30億→50億と予算が上がり、未上場でも100億程度調達します。それ位の予算があれば、かなり思い切った新しいことにも挑戦できますのでやはり資金力をつけたいですね。

- 起業を考えている人へのメッセージをお願いします

「今日からはじめて一生続けろ。もしくは止めておけ。」起業を考えるだけで満足している人や安易に考えている人が多すぎるので、中途半端にウロウロするくらいなら「起業を止める」という選択肢も考えるべきです。自分は起業家ではないと分かれば、また別の生き方ができ、その方が成果につながることも往々にしてあると思います。

- 座右の銘は?

やはり“Impact On The World”、これしかないです。先の見えない時代ですから、まず行動することが最も近道だと思っています。躍動感あふれる会社であり続けたいですね。

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